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Bite -change-










待ち合わせ場所は、

隣町の駅の近くにある喫茶店だった






通された店の奥の席で、この前と同じミルクティーを飲みながら、窓の外に広がる夕方の空を見上げる






今朝見た天気予報では、夕方から雨の予報だったのに

ガラスに反射する外界は、遮る雲もなく澄み渡っていた






その見慣れない景色に

ぼんやりと視線を漂わせていると









「… あの、すみません、」









視界の外から、
そんな柔らかな声がして

それに引かれるように、

声がした方に目を向ければ







そこには、

私と同年代ほどの、
品の良い男性が立っていた








黒いロングコートに、栗色の髪








その耳当たりの良い澄んだ声に

私は、聞き覚えがあった









「あ、えっと… 、

……シオンさん、ですか?」









ぎこちないながらに、そう尋ねれば









「ああ、はい。


… 初めまして、シオンです」








シオンさんはそう言って、その大きな手を差し出し、ふわりと優しく微笑んだのだった









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「すみません、わざわざこちらまで来ていただいてしまって」





私の向かい側に座り、
注文したカフェラテに手をつける前に

シオンさんはそう言って、

その端正な眉を少し下げた






「あ、いえ… 、こちらこそ、お時間頂いてしまって申し訳ないです」

「いや… 、」






私の言葉に、

シオンさんは静かに視線を下げて

その長い睫毛と共に、そっと目を伏せた








「… 話を聞かせてほしいと言ったのは、僕の方ですから」









そう呟いて、
また笑みを象る唇は



心なしか、

どこか、哀しげに見えた








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