Bite -change-
*
待ち合わせ場所は、
隣町の駅の近くにある喫茶店だった
通された店の奥の席で、この前と同じミルクティーを飲みながら、窓の外に広がる夕方の空を見上げる
今朝見た天気予報では、夕方から雨の予報だったのに
ガラスに反射する外界は、遮る雲もなく澄み渡っていた
その見慣れない景色に
ぼんやりと視線を漂わせていると
「… あの、すみません、」
視界の外から、
そんな柔らかな声がして
それに引かれるように、
声がした方に目を向ければ
そこには、
私と同年代ほどの、
品の良い男性が立っていた
黒いロングコートに、栗色の髪
その耳当たりの良い澄んだ声に
私は、聞き覚えがあった
「あ、えっと… 、
……シオンさん、ですか?」
ぎこちないながらに、そう尋ねれば
「ああ、はい。
… 初めまして、シオンです」
シオンさんはそう言って、その大きな手を差し出し、ふわりと優しく微笑んだのだった
-----
「すみません、わざわざこちらまで来ていただいてしまって」
私の向かい側に座り、
注文したカフェラテに手をつける前に
シオンさんはそう言って、
その端正な眉を少し下げた
「あ、いえ… 、こちらこそ、お時間頂いてしまって申し訳ないです」
「いや… 、」
私の言葉に、
シオンさんは静かに視線を下げて
その長い睫毛と共に、そっと目を伏せた
「… 話を聞かせてほしいと言ったのは、僕の方ですから」
そう呟いて、
また笑みを象る唇は
心なしか、
どこか、哀しげに見えた
.
待ち合わせ場所は、
隣町の駅の近くにある喫茶店だった
通された店の奥の席で、この前と同じミルクティーを飲みながら、窓の外に広がる夕方の空を見上げる
今朝見た天気予報では、夕方から雨の予報だったのに
ガラスに反射する外界は、遮る雲もなく澄み渡っていた
その見慣れない景色に
ぼんやりと視線を漂わせていると
「… あの、すみません、」
視界の外から、
そんな柔らかな声がして
それに引かれるように、
声がした方に目を向ければ
そこには、
私と同年代ほどの、
品の良い男性が立っていた
黒いロングコートに、栗色の髪
その耳当たりの良い澄んだ声に
私は、聞き覚えがあった
「あ、えっと… 、
……シオンさん、ですか?」
ぎこちないながらに、そう尋ねれば
「ああ、はい。
… 初めまして、シオンです」
シオンさんはそう言って、その大きな手を差し出し、ふわりと優しく微笑んだのだった
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「すみません、わざわざこちらまで来ていただいてしまって」
私の向かい側に座り、
注文したカフェラテに手をつける前に
シオンさんはそう言って、
その端正な眉を少し下げた
「あ、いえ… 、こちらこそ、お時間頂いてしまって申し訳ないです」
「いや… 、」
私の言葉に、
シオンさんは静かに視線を下げて
その長い睫毛と共に、そっと目を伏せた
「… 話を聞かせてほしいと言ったのは、僕の方ですから」
そう呟いて、
また笑みを象る唇は
心なしか、
どこか、哀しげに見えた
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