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Bite -change-










「あー、よく歩いたな~」







彼がそう呟き、微笑む頃には

夕陽に染まっていた世界も
もう、真っ暗になってしまっていた






「…私、休みの日に出かけたの久しぶりだよ」

「んー俺も。たまにはいいな、こういうのも」






そんな、他愛のない話をしながら
時折、夜空をぼんやり見上げて

久々に、駅からあのアパートまでの道を歩いた






大きな街灯が私たちの足元に落とす、不自然な影

今日1日でまた馴染み始めた、隣に並ぶ彼






冷たくなり始めた空気に吐き出す息は、少し白くなっているような気もするのに

身体の奥底は、妙な熱を帯びていて


暖かいような、温いような

そんな、曖昧なぬくもりに包まれている気がした









… それは

過去に感じたものと、同じようで









でもやはり、

明らかに、"何か"が違った









その違和感に、抗い切れないうちに

いつの間にか、
アパートのエントランスに辿り着いていた






「… あ、ここ、」

「ん?…… あ、そうだ」






足を止めると、
彼も立ち止まって、私に向き合う






「… ごめん、また送ってもらっちゃったね」

「いいよ、てかこんな夜にひとりで帰せないし」

「… ありがとう、」

「いえいえ、俺こそ」






そう言って、彼が微笑んだ後

しばらくの沈黙が流れる








「… じゃあ、」








そう呟き、

彼に背を向けようとした瞬間









「…… 望叶、」









その静かな声と

大きな掌が、私を引き止めた






手首に感じる、冷えた感覚に

ふと、顔を上げれば








私を見つめる、その瞳と視線が絡んで








その瞬間に

心臓の隅が、わずかに音を立てたのが分かった









彼の呼びかけに咄嗟に反応することができずに、その瞳に捉えられたままでいれば









彼は一瞬視線を下げて、息を吐いて

そして、呟いた












「……… 俺らさ、」









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「… もう一回、やり直さない?」









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