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Bite -change-








また、その日から

私の半分の世界は、
色を変えてしまったのかもしれない






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「… どうしたの、望叶ちゃん」

「…… え?」




いつものように出社して
いつものようにパソコンに向き合っていると

隣に座った悠太くんは、そう言って私の顔を覗き込んだ





… 何が?





そう、私が尋ねる前に

「それさ、」

と、私が向き合う画面を指差す





「その資料、この前の会議でいらないからカットしろって言われてたとこじゃん。今更いじっても意味ないんじゃね?」

「え… 、そうだっけ」

「そうだよ。それなくして、その前のやつが直さないとだめなやつだろ」

「あ、そっか。… ごめん、」

「いや、俺はいいけどさ、」





語尾をぼかしつつ、自分もパソコンを開いて

今日も手にしていた缶コーヒーをすする






「… なんかさ、最近ぼーっとしてない?」

「え、私?」

「他に誰がいんのよ」

「… そう、かな」





悠太くんの問いかけには、そう言葉を濁したけれど




正直、自分でも

自分の中で何か変化が起きていることは、はっきりと認識していた






… あの日

私が、彼を拒絶した日






私に背を向け、部屋を出て行った彼は



そのまま、

あの部屋に帰って来なくなった








次の日の朝が来ても、夜になっても

それを幾度繰り返しても


あの空間に、

私以外の呼吸が響くことはなくて








その違和感から、抜け出せないまま

半分の世界の時間だけが、変わらず流れていた









「… ま、無理はすんなよ。ほれ、これやる」




そう言って、

悠太くんは、私のデスクにミルクティーの缶を置いた






… 私のために買ってきてくれたんだろうか、







「… ごめん、私紅茶嫌い」

「いやお前な、」

「… 嘘、ありがとう」







その缶に触れれば

生温い熱が指先に伝わって




… また少し、
複雑な気分になった









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