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青藍と天鵞絨

【約束の銀色】


「先生って、あの頃から僕のこと好きでしたよね」
ベレトから受け取った指輪を左手の薬指に嵌めて貰いながら、リンハルトは嬉しそうに言った。
リンハルトが渡した指輪は、既にベレトの左手の薬指に収まっている。
ようやく約束していた通りに、二人で会う機会を作れた。
それまでには、五年もかかってしまったけれど。
「そんなに分かりやすかったか?」
恥ずかしそうに言うベレトに対し、リンハルトはにっこり笑いながら頷いた。
「僕のことだけあんな目で見てたら、流石に気付きますよ」
「………………」
「まあ、だから安心して、戦いが終わるまで待ってられたんですけど」
リンハルトの言葉に、ベレトは額を抑えた。どうやら照れているらしい。
「先生?」
「……ずっと隠してたつもりだったんだ」
なんと、耳まで赤い。
この人はこんな顔もするのか、と、リンハルトはまだ知らない彼の一面に、何だか嬉しくなってしまった。
「気付かれてないと思ってましたか?」
「……というよりは」
ベレトはちょっと片眉を上げて、
「リンハルトが興味を持っていたのは、俺自身ではなくて、紋章の方だと思っていたから……」
そう言われて、リンハルトはちょっと目を丸くする。
なるほど、確かにそう思われても仕方なかったかもしれない。事実、未だベレトの紋章については、興味津々なわけで。
「ちゃんと先生にも興味ありますから、安心してください」
リンハルトは、おもむろにベレトの左手を取る。
それから、その手の甲に、そっと口付けを落とした。
「愛してますよ、先生」
「……俺も愛してる、リンハルト」
照れ臭そうに、けれど幸せそうに、べレトは微笑んだ。
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