【小さな家族ごっこ】Part2 夜を紡ぐ二人※
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※R-15程度の軽度な性描写あり。
苦手な方はお控えください。
───
夜は、静寂の絹で世界を包んでいた。
街の喧騒は遠のき、時折、どこかの路地裏で猫が短く鳴く声が風に乗って届いてくる。
窓の外には、冴え冴えとした月。
それはまるでひとつの灯火のように、宿の小部屋へと静かな光を注いでいた。
レオはテーブルの上の皿を片付けながら、どこか機嫌よさげに鼻歌を口ずさんでいる。
今日一日の疲れが、やわらかな余韻となって身体に溶けていた。
「♪〜…っと、よし。あとは乾かすだけだな」
サリスはといえば、ベッドの上で今日の荷を整えていた。
薬草を包んだ布、サテン地の巾着に収めた飴、次の町の地図──
そして、彼女の着替え。持ち物はどれも小さく、けれど旅の記憶が織り込まれているようだった。
ふと、サリスがレオの方を見やる。
「ねえ、パパ?」
「やめろ」
「今日はほんとうにお疲れさま、パパ?」
「……なあ、それ何回言えば気が済むんだよ。俺はお前の恋人であって、ピーターのパパじゃねぇ」
「でも今日のあなたは、ちゃんと“パパ”してたわよ?」
「やめろっての。……まったく」
口では渋い顔をしながらも、レオの胸の奥はどこかくすぐったい。
からかうように笑うサリスの声も、それを許してしまう自分自身も──すべてが、愛しい。
「じゃあ……パパ、覚悟して?」
「……ん?」
次の瞬間だった。
「えいっ!」
「うおっ──おい!」
レオが振り向く間もなく、サリスが彼の手を取って引き寄せ、二人してふかふかのベッドへと倒れ込んだ。
シーツの感触、弾けるような笑い声。
じゃれ合うように絡んだふたりの身体は、月明かりの中でゆっくりと重なり合っていく。
「……ったく、元気すぎだろ、お前」
レオが上から彼女を見下ろす。
栗色の髪がベッドの上にふわりと広がり、月の光を帯びてやわらかく輝く。
サリスの輪郭が浮かび上がり、まるで──神話の女神のように幻想的だった。
「お前はほんと……こういうときは無敵だな。出会った頃はもっとお淑やかで、神秘的で……まさに海の王女って感じだったのに」
サリスは、ほんの少しだけ寂しそうに笑った。
「それはあなたも一緒よ、レオ。……最初のあなたは、遠い場所を見ていた。誰も信じられないような、そんな目をしてた。でも、今は違う」
彼女の瞳がゆっくりと、彼を捉える。
「あなたはどこにいても、必ず私を見つけてくれる」
「サリス……」
「海の底でも、暗闇の中でも。……だから、私はあなたが好き。あなたが、私の光なの」
その言葉が、胸の奥まで響いてきた。
レオは何も言わず、ただその眼差しを受け止めた。
やがて、サリスの柔らかな唇が、彼の唇にそっと触れる。
「……隙あり」
「……やったな」
レオは息を呑むように呟き、次の瞬間、深く長いキスを返した。
角度を変え、唇をすべらせ、確かめ合うように──何度も、何度も。
唇が離れるたびに、サリスの吐息が、熱を孕んで胸の奥をくすぐった。
「……もう、えっち」
「……それ、どこで覚えた」
「えっち?」
「繰り返すなっての!」
レオが慌てて口を塞ごうとすると、サリスの笑い声が喉の奥で震える。
けれど、その笑い声は徐々に呼吸の合間に変わっていった。
甘い空気がふたりの間に満ちていく。
レオは彼女の頬へ、首筋へ、舌先でやわらかく触れた。
サリスの白い喉が小さく震え、指先がシーツを掴む。
そして──
「……っ、ぁ……っ」
鎖骨に落ちたキスが、紅い雫のように肌の上に咲いた。
リップ音と共に、じんわりと広がるぬくもり。
サリスの細い指が、そっとその場所に添えられる。
「……可愛い声、出すなよ。……止まらなくなる」
レオの囁きは、低く、甘く、耳元で熱を含んでいた。
息がかかるたび、サリスの身体はかすかに震える。
「……止まらなくて、いいわ」
その言葉に、レオは息を呑んだ。
サリスの言葉には、ためらいがなかった。
ただ静かに、でも深く、すべてを差し出す覚悟が宿っていた。
レオは一瞬だけ迷うように、彼女の瞳を覗き込む。
その奥には、恐れではなく、祈りのような信頼があった。
「サリス……」
「ねえ、レオ。お願い。……あなたを、抱きしめたいの。私のすべてで、あなたを愛したいの」
その言葉に、胸が締めつけられた。
ただ情熱に任せるのではなく──
ただ衝動に流されるのではなく──
そこには確かに、ひとつの“誓い”があった。
レオはそっと、サリスの頬を両手で包んだ。
「……後悔、しないか?」
その問いは、最後の砦だった。
彼女の未来も、心も、全部を預かることになるから。
けれど、サリスはためらいもなく、首を横に振った。
「後悔なんてしないわ。だって私は、もう何度もあなたに救われてきたもの」
彼女の手が、そっとレオの胸に触れる。
「……あなたの過去も、傷も、未来も……全部、私に預けて」
レオの目が揺れる。
それは、長い旅の果てに出会えた“居場所”の色。
「……もう、お前には敵わねぇな」
そう呟いたあと、彼はゆっくりと彼女を抱きしめた。
指先が、サリスの背をなぞる。
布越しに感じる体温が、愛しさの輪郭をはっきりと浮かび上がらせる。
そして、唇がもう一度触れ合った。
今度は、焦がすように。
確かめるように。
言葉よりも深く、想いを交わしながら。
サリスは目を閉じた。
レオの手が、ゆっくりと彼女の肩紐にかかる。
ひとつ、ほどけた音。
その音に合わせるように、カーテンがふわりと揺れ、月明かりがベッドを照らす。
彼女の肌が、夜の光にきらめいた。
「……綺麗だ」
思わず漏れた言葉は、まるで詩の一節のようだった。
サリスは、そっとレオの胸に顔を埋める。
「……恥ずかしいわ」
「それでも……見惚れるしかない」
レオの手が、彼女の髪をそっとすくい、後ろへ撫で下ろす。
なぞるように指がうなじを伝い、耳元へ。
息がかかっただけで、サリスはかすかに震えた。
「っ……レオ……」
耳に触れた唇が、ゆっくりと動いた。
「愛してる、サリス。……お前が笑ってくれるだけで、俺の全部が救われる」
その言葉に、サリスの目元がにじむ。
(……この人に出会えて、ほんとうによかった)
心の底から、そう思った。
互いの温もりが、布越しに、肌の上に、言葉よりも雄弁に伝わる。
まるでふたりだけの世界がそこにあり、他の何も要らないような、そんな夜。
交わした視線の奥に、重なる想いが宿る。
そして──レオは、彼女をそっと抱きしめた。
まるで光を、その手に受けとめるように。
やがて、ふたりの影が月明かりのベッドの上で、そっと溶け合っていく。
外では、まだ風が、どこか遠くで街灯を揺らしていた。
けれどこの部屋の中では、世界の音がすべて遠ざかっていた。
ただ、ふたりの心臓の鼓動だけが、静かに、同じリズムで重なっていた。
苦手な方はお控えください。
───
夜は、静寂の絹で世界を包んでいた。
街の喧騒は遠のき、時折、どこかの路地裏で猫が短く鳴く声が風に乗って届いてくる。
窓の外には、冴え冴えとした月。
それはまるでひとつの灯火のように、宿の小部屋へと静かな光を注いでいた。
レオはテーブルの上の皿を片付けながら、どこか機嫌よさげに鼻歌を口ずさんでいる。
今日一日の疲れが、やわらかな余韻となって身体に溶けていた。
「♪〜…っと、よし。あとは乾かすだけだな」
サリスはといえば、ベッドの上で今日の荷を整えていた。
薬草を包んだ布、サテン地の巾着に収めた飴、次の町の地図──
そして、彼女の着替え。持ち物はどれも小さく、けれど旅の記憶が織り込まれているようだった。
ふと、サリスがレオの方を見やる。
「ねえ、パパ?」
「やめろ」
「今日はほんとうにお疲れさま、パパ?」
「……なあ、それ何回言えば気が済むんだよ。俺はお前の恋人であって、ピーターのパパじゃねぇ」
「でも今日のあなたは、ちゃんと“パパ”してたわよ?」
「やめろっての。……まったく」
口では渋い顔をしながらも、レオの胸の奥はどこかくすぐったい。
からかうように笑うサリスの声も、それを許してしまう自分自身も──すべてが、愛しい。
「じゃあ……パパ、覚悟して?」
「……ん?」
次の瞬間だった。
「えいっ!」
「うおっ──おい!」
レオが振り向く間もなく、サリスが彼の手を取って引き寄せ、二人してふかふかのベッドへと倒れ込んだ。
シーツの感触、弾けるような笑い声。
じゃれ合うように絡んだふたりの身体は、月明かりの中でゆっくりと重なり合っていく。
「……ったく、元気すぎだろ、お前」
レオが上から彼女を見下ろす。
栗色の髪がベッドの上にふわりと広がり、月の光を帯びてやわらかく輝く。
サリスの輪郭が浮かび上がり、まるで──神話の女神のように幻想的だった。
「お前はほんと……こういうときは無敵だな。出会った頃はもっとお淑やかで、神秘的で……まさに海の王女って感じだったのに」
サリスは、ほんの少しだけ寂しそうに笑った。
「それはあなたも一緒よ、レオ。……最初のあなたは、遠い場所を見ていた。誰も信じられないような、そんな目をしてた。でも、今は違う」
彼女の瞳がゆっくりと、彼を捉える。
「あなたはどこにいても、必ず私を見つけてくれる」
「サリス……」
「海の底でも、暗闇の中でも。……だから、私はあなたが好き。あなたが、私の光なの」
その言葉が、胸の奥まで響いてきた。
レオは何も言わず、ただその眼差しを受け止めた。
やがて、サリスの柔らかな唇が、彼の唇にそっと触れる。
「……隙あり」
「……やったな」
レオは息を呑むように呟き、次の瞬間、深く長いキスを返した。
角度を変え、唇をすべらせ、確かめ合うように──何度も、何度も。
唇が離れるたびに、サリスの吐息が、熱を孕んで胸の奥をくすぐった。
「……もう、えっち」
「……それ、どこで覚えた」
「えっち?」
「繰り返すなっての!」
レオが慌てて口を塞ごうとすると、サリスの笑い声が喉の奥で震える。
けれど、その笑い声は徐々に呼吸の合間に変わっていった。
甘い空気がふたりの間に満ちていく。
レオは彼女の頬へ、首筋へ、舌先でやわらかく触れた。
サリスの白い喉が小さく震え、指先がシーツを掴む。
そして──
「……っ、ぁ……っ」
鎖骨に落ちたキスが、紅い雫のように肌の上に咲いた。
リップ音と共に、じんわりと広がるぬくもり。
サリスの細い指が、そっとその場所に添えられる。
「……可愛い声、出すなよ。……止まらなくなる」
レオの囁きは、低く、甘く、耳元で熱を含んでいた。
息がかかるたび、サリスの身体はかすかに震える。
「……止まらなくて、いいわ」
その言葉に、レオは息を呑んだ。
サリスの言葉には、ためらいがなかった。
ただ静かに、でも深く、すべてを差し出す覚悟が宿っていた。
レオは一瞬だけ迷うように、彼女の瞳を覗き込む。
その奥には、恐れではなく、祈りのような信頼があった。
「サリス……」
「ねえ、レオ。お願い。……あなたを、抱きしめたいの。私のすべてで、あなたを愛したいの」
その言葉に、胸が締めつけられた。
ただ情熱に任せるのではなく──
ただ衝動に流されるのではなく──
そこには確かに、ひとつの“誓い”があった。
レオはそっと、サリスの頬を両手で包んだ。
「……後悔、しないか?」
その問いは、最後の砦だった。
彼女の未来も、心も、全部を預かることになるから。
けれど、サリスはためらいもなく、首を横に振った。
「後悔なんてしないわ。だって私は、もう何度もあなたに救われてきたもの」
彼女の手が、そっとレオの胸に触れる。
「……あなたの過去も、傷も、未来も……全部、私に預けて」
レオの目が揺れる。
それは、長い旅の果てに出会えた“居場所”の色。
「……もう、お前には敵わねぇな」
そう呟いたあと、彼はゆっくりと彼女を抱きしめた。
指先が、サリスの背をなぞる。
布越しに感じる体温が、愛しさの輪郭をはっきりと浮かび上がらせる。
そして、唇がもう一度触れ合った。
今度は、焦がすように。
確かめるように。
言葉よりも深く、想いを交わしながら。
サリスは目を閉じた。
レオの手が、ゆっくりと彼女の肩紐にかかる。
ひとつ、ほどけた音。
その音に合わせるように、カーテンがふわりと揺れ、月明かりがベッドを照らす。
彼女の肌が、夜の光にきらめいた。
「……綺麗だ」
思わず漏れた言葉は、まるで詩の一節のようだった。
サリスは、そっとレオの胸に顔を埋める。
「……恥ずかしいわ」
「それでも……見惚れるしかない」
レオの手が、彼女の髪をそっとすくい、後ろへ撫で下ろす。
なぞるように指がうなじを伝い、耳元へ。
息がかかっただけで、サリスはかすかに震えた。
「っ……レオ……」
耳に触れた唇が、ゆっくりと動いた。
「愛してる、サリス。……お前が笑ってくれるだけで、俺の全部が救われる」
その言葉に、サリスの目元がにじむ。
(……この人に出会えて、ほんとうによかった)
心の底から、そう思った。
互いの温もりが、布越しに、肌の上に、言葉よりも雄弁に伝わる。
まるでふたりだけの世界がそこにあり、他の何も要らないような、そんな夜。
交わした視線の奥に、重なる想いが宿る。
そして──レオは、彼女をそっと抱きしめた。
まるで光を、その手に受けとめるように。
やがて、ふたりの影が月明かりのベッドの上で、そっと溶け合っていく。
外では、まだ風が、どこか遠くで街灯を揺らしていた。
けれどこの部屋の中では、世界の音がすべて遠ざかっていた。
ただ、ふたりの心臓の鼓動だけが、静かに、同じリズムで重なっていた。
