男は狼なのよ
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──レオ視点──
朝、目を覚ますと、隣にいるはずのサリスがいなかった。
(あれ……?)
軽く伸びをして起き上がると、キッチンの方で何やら物音がする。
ふらりと寝ぼけ眼で近づくと、栗色の髪を揺らしながら、サリスが真剣な顔でパンを焼いていた。
「……おはよう、サリス」
「おはよう、レオ。……ちょうど聞きたかったの」
俺が椅子に座るより早く、サリスは振り向き、まっすぐな目でこう尋ねた。
「ところで、“狼”ってどういうこと?
人間の男性も、狼に変化できるってこと?
人間ってやっぱり不思議な生き物ね」
一瞬、時が止まった。
「…………は?」
「昨日、あなたが言ってたじゃない。『男は狼なんだぞ』って。
変身するってこと?それとも、そういう伝説があるの?」
彼女は至って真面目だった。
美しい瑠璃色の瞳がキラキラしている。
「……えっと、それは、その……」
「昔、浜辺で拾った本に書いてあったわ。
“夜の狼に気をつけろ”って」
ああ……なるほど、あのページか。
思い出した。
サリスが人間の世界に来たばかりの頃、浜辺に落ちていた誰かの恋愛小説を拾って、妙に読みふけっていたっけ。
あのとき、俺は確かにそのフレーズを読んで青ざめた。
まさか、ここに来て回収されるとは。
「サリス……あれは、その……変身とかじゃなくて、比喩っていうか……つまり、“そういう意味”じゃないんだ」
「そういう意味?」
「……夜に、男が、こう……その、おまえに対して……」
(言えねぇ!!)
まっすぐな目で、首をかしげて待たれるこの地獄。
だめだ。俺は試されている。
昨日の狼発言をした自分を、数分だけ過去に戻って殴りたい。
「……つまり、サリスみたいに可愛い子の前では、男はその……抑えがきかなくなるってことだ」
「ふぅん……じゃあ、昨夜のあなたは、“子犬”だったのね」
「……ッ!」
(……完全に、一本取られた)
サリスはパンを皿に盛りながら、ふふっと微笑む。
「でも、大丈夫。私はレオの“狼さん”も、“子犬さん”も、ちゃんと大事にするわ」
「…………っ……もう、やめてくれ……!」
俺は顔を両手で覆って、崩れ落ちた。
今日も世界は平和だ。
いや、俺の尊厳以外は。
──Fin
朝、目を覚ますと、隣にいるはずのサリスがいなかった。
(あれ……?)
軽く伸びをして起き上がると、キッチンの方で何やら物音がする。
ふらりと寝ぼけ眼で近づくと、栗色の髪を揺らしながら、サリスが真剣な顔でパンを焼いていた。
「……おはよう、サリス」
「おはよう、レオ。……ちょうど聞きたかったの」
俺が椅子に座るより早く、サリスは振り向き、まっすぐな目でこう尋ねた。
「ところで、“狼”ってどういうこと?
人間の男性も、狼に変化できるってこと?
人間ってやっぱり不思議な生き物ね」
一瞬、時が止まった。
「…………は?」
「昨日、あなたが言ってたじゃない。『男は狼なんだぞ』って。
変身するってこと?それとも、そういう伝説があるの?」
彼女は至って真面目だった。
美しい瑠璃色の瞳がキラキラしている。
「……えっと、それは、その……」
「昔、浜辺で拾った本に書いてあったわ。
“夜の狼に気をつけろ”って」
ああ……なるほど、あのページか。
思い出した。
サリスが人間の世界に来たばかりの頃、浜辺に落ちていた誰かの恋愛小説を拾って、妙に読みふけっていたっけ。
あのとき、俺は確かにそのフレーズを読んで青ざめた。
まさか、ここに来て回収されるとは。
「サリス……あれは、その……変身とかじゃなくて、比喩っていうか……つまり、“そういう意味”じゃないんだ」
「そういう意味?」
「……夜に、男が、こう……その、おまえに対して……」
(言えねぇ!!)
まっすぐな目で、首をかしげて待たれるこの地獄。
だめだ。俺は試されている。
昨日の狼発言をした自分を、数分だけ過去に戻って殴りたい。
「……つまり、サリスみたいに可愛い子の前では、男はその……抑えがきかなくなるってことだ」
「ふぅん……じゃあ、昨夜のあなたは、“子犬”だったのね」
「……ッ!」
(……完全に、一本取られた)
サリスはパンを皿に盛りながら、ふふっと微笑む。
「でも、大丈夫。私はレオの“狼さん”も、“子犬さん”も、ちゃんと大事にするわ」
「…………っ……もう、やめてくれ……!」
俺は顔を両手で覆って、崩れ落ちた。
今日も世界は平和だ。
いや、俺の尊厳以外は。
──Fin
