猫と魚と、浜辺にて
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※一巻目、レオとサリスが共に旅をして間もない頃のお話。
─────
穏やかな海の波音が響く、昼下がりの浜辺。
レオは腰を下ろし、一本の釣竿を手に、静かに糸を垂らしていた。
潮風に揺れる赤褐色の髪、視線は水面に落とした浮きへと集中している。
陽差しはやわらかく、頬を撫でる風も心地よい。
その背後から、軽やかな足音が近づいてきた。
「レオ、何をしているの?」
振り返ると、サリスが首をかしげて立っていた。
銀糸のような髪は陽光を浴びてきらめき、アクアマリンのように透きとおった瞳が、釣竿を不思議そうに見つめている。
人間の姿をとったとはいえ、まだまだ見慣れぬ世界ばかりなのだろう。
「釣りをしてるんだよ」
「つり……?」
サリスは足元にしゃがみこみ、竿の先端や仕掛けをじっと見つめる。
「この竿の先に糸を垂らして、釣り針に餌をつける。魚が食いついたら……引き上げるってわけさ」
「へぇ……これが“釣り針”? なんだか、妙な形ね」
彼女は興味津々といった様子で指を伸ばす。
「触るなよ。鋭いから刺さったら危ない」
レオは軽く笑いながら、それとなく彼女の手を引いて制した。
しばらくは静かな時間が流れる。
レオは釣りを続けながら、釣れたらどんな料理にしようかと思いを巡らせていた。
塩焼きにして、レモンをかけるのもいい。あるいは煮込みにして、宿の台所を借りてもいいかもしれない。
サリスはどんな味が好きだろうか――
そんなことを考えていた、その時だった。
「きゃーーーーーーっ!!」
絹を裂くようなサリスの悲鳴が、突然、背後から響いた。
「っ!?」
レオは驚いて釣竿を取り落としそうになり、慌てて後ろを振り向いた。
そして、思わず固まった。
サリスが、三匹の猫に追いかけられて、砂浜を全力で逃げていた。
「……は?」
あまりにも意外な光景に、レオの口から間抜けな声が漏れた。
「こ、来ないでーーーっ! レオーーー!! なんとかしてちょうだい!!」
顔を青ざめさせ、必死に走るサリスの姿は、普段の幻想的な雰囲気とはあまりにもかけ離れていた。
レオは我に返った瞬間、思わず吹き出してしまった。
「な、何笑ってるの!? はやく助けてぇぇ!!」
必死の叫びに苦笑しながら、レオは釣り道具の近くに置いてあった小魚を手に取ると、指笛を吹いた。
「おいで」
すると、三匹の猫たちはぴたりと動きを止め、一斉にレオの方へ駆け寄ってきた。
「やっぱり……腹が減ってただけだな、こいつら」
「わ、私が……魚くさいってこと!?」
サリスは半べそをかきながら、レオの背にぴたりと隠れる。
その瞳は潤み、眉はハの字に垂れ、いつもの幻想的な美しさとはまた違う、どこか子どものような愛らしさがあった。
レオは口元を緩めながら、からかうように言った。
「いや、違う違う。……いや、違わないか? そもそもサリスって、人魚だしな……」
「ぶつぶつ呟いてないで、早くこの子たちどかしてっ!」
「はいはい」
レオは笑いながら小魚を猫たちに分け与え、彼らは満足そうに去っていった。
やがて波の音だけが戻ってきた浜辺。
サリスはふうっと肩を落としながら、小さくつぶやいた。
「……猫って、こんなに怖いものなのね……」
「いや、普通はそんなに怖がらなくていい生き物だよ」
「そうなの……?」
「うん。でもまあ、今日のはちょっと……元気すぎたな」
レオはそう言いながら、彼女の頭にぽんと手を置いた。
「よし。魚も釣れたことだし、そろそろ宿に戻るか」
サリスは頷いた。すこしだけ頬を膨らませたまま、けれどもどこか楽しそうな顔をしていた。
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穏やかな海の波音が響く、昼下がりの浜辺。
レオは腰を下ろし、一本の釣竿を手に、静かに糸を垂らしていた。
潮風に揺れる赤褐色の髪、視線は水面に落とした浮きへと集中している。
陽差しはやわらかく、頬を撫でる風も心地よい。
その背後から、軽やかな足音が近づいてきた。
「レオ、何をしているの?」
振り返ると、サリスが首をかしげて立っていた。
銀糸のような髪は陽光を浴びてきらめき、アクアマリンのように透きとおった瞳が、釣竿を不思議そうに見つめている。
人間の姿をとったとはいえ、まだまだ見慣れぬ世界ばかりなのだろう。
「釣りをしてるんだよ」
「つり……?」
サリスは足元にしゃがみこみ、竿の先端や仕掛けをじっと見つめる。
「この竿の先に糸を垂らして、釣り針に餌をつける。魚が食いついたら……引き上げるってわけさ」
「へぇ……これが“釣り針”? なんだか、妙な形ね」
彼女は興味津々といった様子で指を伸ばす。
「触るなよ。鋭いから刺さったら危ない」
レオは軽く笑いながら、それとなく彼女の手を引いて制した。
しばらくは静かな時間が流れる。
レオは釣りを続けながら、釣れたらどんな料理にしようかと思いを巡らせていた。
塩焼きにして、レモンをかけるのもいい。あるいは煮込みにして、宿の台所を借りてもいいかもしれない。
サリスはどんな味が好きだろうか――
そんなことを考えていた、その時だった。
「きゃーーーーーーっ!!」
絹を裂くようなサリスの悲鳴が、突然、背後から響いた。
「っ!?」
レオは驚いて釣竿を取り落としそうになり、慌てて後ろを振り向いた。
そして、思わず固まった。
サリスが、三匹の猫に追いかけられて、砂浜を全力で逃げていた。
「……は?」
あまりにも意外な光景に、レオの口から間抜けな声が漏れた。
「こ、来ないでーーーっ! レオーーー!! なんとかしてちょうだい!!」
顔を青ざめさせ、必死に走るサリスの姿は、普段の幻想的な雰囲気とはあまりにもかけ離れていた。
レオは我に返った瞬間、思わず吹き出してしまった。
「な、何笑ってるの!? はやく助けてぇぇ!!」
必死の叫びに苦笑しながら、レオは釣り道具の近くに置いてあった小魚を手に取ると、指笛を吹いた。
「おいで」
すると、三匹の猫たちはぴたりと動きを止め、一斉にレオの方へ駆け寄ってきた。
「やっぱり……腹が減ってただけだな、こいつら」
「わ、私が……魚くさいってこと!?」
サリスは半べそをかきながら、レオの背にぴたりと隠れる。
その瞳は潤み、眉はハの字に垂れ、いつもの幻想的な美しさとはまた違う、どこか子どものような愛らしさがあった。
レオは口元を緩めながら、からかうように言った。
「いや、違う違う。……いや、違わないか? そもそもサリスって、人魚だしな……」
「ぶつぶつ呟いてないで、早くこの子たちどかしてっ!」
「はいはい」
レオは笑いながら小魚を猫たちに分け与え、彼らは満足そうに去っていった。
やがて波の音だけが戻ってきた浜辺。
サリスはふうっと肩を落としながら、小さくつぶやいた。
「……猫って、こんなに怖いものなのね……」
「いや、普通はそんなに怖がらなくていい生き物だよ」
「そうなの……?」
「うん。でもまあ、今日のはちょっと……元気すぎたな」
レオはそう言いながら、彼女の頭にぽんと手を置いた。
「よし。魚も釣れたことだし、そろそろ宿に戻るか」
サリスは頷いた。すこしだけ頬を膨らませたまま、けれどもどこか楽しそうな顔をしていた。
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