エメラルドの檻③ ─Albion─【オリジナル夢】
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北の大陸へ行くには、船で二週間前後はかかるらしいとのこと。
レオとサリスは船旅の途中、とある街に立ち寄った。
”花と音楽の街──ミュローズ”
石畳の通りには色とりどりの花があふれ、軽快なリュートや笛の音が空気を踊るように駆けていく。
今日は年に一度の「ローズ・パレード」の日。街中が色彩と旋律に包まれていた。
「今日は年に一度のローズ・パレードの日だよ!」
通りを駆けていく子どもたちが、花びらを振りまきながら楽しそうに叫ぶ。頭にはバラの冠、手にはリボン付きの小旗。
レオとサリスも、そんな笑い声につられて通りを歩いていた。
「すごいわ……どこもかしこも、花の香り」
サリスは立ち止まり、花のアーチをくぐるようにして深く息を吸い込んだ。
バラ、ラベンダー、ローズマリー、それに馴染みのない南方の花々まで……濃密な香りが空に溶けていく。
「ん?」
その時、通りの片隅から、賑やかな声がした。
「ミュローズ名物のビターバレンはいかが〜!? 揚げたてだよ、サクッととろける香ばしさっ!」
声の主は、丸々としたお腹に白いエプロンを巻いた中年の男。売店の中で大きな鍋を操りながら、威勢よく呼び込みをしている。
「……びたーばれん?」
サリスが首をかしげて小さく呟いた。
「何だろうな。行ってみようか」
レオが笑って言うと、サリスも嬉しそうに頷いた。
「ええ!」
揚げ油の香ばしい匂いに誘われて屋台へ近づくと、男が陽気に笑いながら説明してくれた。
「ようこそ! ビターバレンってのはな、うちの街じゃ定番中の定番! 牛のラグーに香辛料を練り込んで、衣をつけてカラッと揚げたもんさ!」
「外はサクッと、中はとろ〜り……クセになる味だぜ!」
さっそくひとつ受け取ったサリスは、恐る恐る一口かじった。
「……っ!あつっ……でも……おいしいっ!」
「おっ、気に入ったみたいだな!」
サリスは目を輝かせて頷く。レオも続けて一口かじった。
「……これは、たしかに名物になるわけだ」
その美味しさに、ふたりは思わず顔を見合わせて笑った。
街のざわめきと音楽、花の香りと揚げたてのビターバレン。
まるで夢のような、ひとときの祝祭の中で――旅の疲れも、心の距離も、ふわりと溶けていくようだった。
