エメラルドの檻③ ─Albion─【オリジナル夢】
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深き森の奥。
霧が薄くたなびき、朝露が葉先から雫を落とすころ。
カルヴァスは、静かに目を閉じていた。
古の大樹の根元に立ち、風の流れに耳を澄ます。
精霊たちのさざめきが、枝のざわめきと共に語りかけてくる。
そのとき、肩先にひとつの羽音が降りた。
小さな妖精が、鈴のような声で囁く。
「カルヴァスさま……ふたりは、森を去りました。
峠へ向かい、風に手を引かれるように歩いています。
とても、やわらかな笑顔で──」
妖精の声に、カルヴァスはふっと目を開けた。
「……そうか。彼らは去ったか」
その呟きは、深い静けさと慈しみに満ちていた。
翡翠の瞳が、遠く空を仰ぐ。
森の木々は静かに揺れ、まだ消えぬふたりの気配を名残惜しげに抱いていた。
「この森に流れぬ歌が、ふたりの声で甦った。
精霊たちは眠りから目覚め、命の水晶が再び輝きを取り戻した。
かつての調和の片鱗が、ほんの少し──戻ってきたのだろう」
カルヴァスの指先に、小さな風が触れる。
それはまるで、別れのあいさつのようだった。
「歌姫と守人……。
人と異なる種が、互いの心に寄り添い、旅をする。
その旅路が、やがて世界に新たな風を吹かせるのなら──
我々はそれを最期まで見届けるとしよう」
妖精が微笑みながら、彼の肩でそっと羽を震わせる。
カルヴァスは目を閉じ、最後にもう一度、遠くの風を想った。
「いつかまた、風がここへ戻ってくる日が来るだろう。
あの竪琴が、すべての命の記憶を抱いて……」
森は静かだった。
けれど、その沈黙の奥には、確かにひとすじの“祈り”が流れていた。
やがてカルヴァスは背を向け、精霊たちの眠る森の奥へと歩を進める。
その背に、朝の光が静かに差し込んでいた。
──そして、森は再び静かに息をする。
精霊の鼓動を抱きながら、次なる風を待ち続けている。
エメラルドの檻 ~ albion ~
~ Fin ~
to be continued...
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