エメラルドの檻③ ─Albion─【オリジナル夢】
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精霊の谷からの帰還以来、村には穏やかな風が流れていた。
張り詰めていた空気はやわらぎ、命の水晶が宿す光は夜の闇をやさしく照らしている。
どこか空気が柔らかく、土や木々の匂いも心なしか懐かしく感じられた。
そんなある午後、サリスとレオは村人たちの勧めで、名物である「蒸し風呂」を体験することになった。
村の共同浴場は、木造の丸屋根の小屋。
湯気が立ちこめ、熱した石にハーブを乗せると心地よい香りが漂う。
外の世界とは切り離されたような、静かな癒しの空間だった。
────
レオはというと、村の男衆にすっかり取り囲まれていた。
「お前さん、ええ身体しとるな! 傭兵か?」
「元兵士だ。だいぶ昔だけどな」
肩を竦めるレオに、ひとりがニヤリと笑って言った。
「あんな可愛い子を連れてるってことは……お前さん、旦那か?」
「は? 違――」
「嫁さんは大事にしろよ! な?」
「ちょっ、ちょっと待て! 違うって言ってるだろ!」
がっはっはっと笑いながら背中をバンバン叩かれ、レオは思わずむせ返った。
「若ェってのは良いなぁ!
…で、もう手は出したのか?」
「手ェって何の話だよッ!!」
「いやぁ~でも、あの子はほんと綺麗だしな〜。優しそうだし、うちの女房も見習ってほしいもんだぜ」
「──アンタ、聞こえてるよ!!」
外から鋭く飛んできた女性の声に、言った男は顔を青くし、場が大爆笑に包まれた。
レオもついに吹き出し、肩を震わせながら笑った。
こんな大声で笑ったのはいつ以来だろうか?
(ベルトホルト……
あんたにも、見せてやりたいよ)
こんな自分でも愛し、慈しんでくれる彼女がいてくれたからこそ、
自分はこんなにも変われたのだ。
────
その頃、隣の湯屋にいたサリスは、壁越しに響く男たちの笑い声にそっと口元を緩めていた。
「まぁまぁ、あっちはにぎやかねぇ」
「ふふっ……そうですね。あの人があんなに笑うの、初めて聞きました」
湯けむりのなか、サリスの瞳にはどこか安堵の光が宿っていた。
────
のぼせたのか、少し早く湯を上がったサリスは、夜風に当たりながら縁側に腰をおろしていた。
間もなく、木戸がきしむ音とともにレオが現れる。
「……えらい目に遭った」
タオルを首に掛けてため息をつく。
シャツの襟元からは、サリスが贈った銀色の狼のペンダントがちらりと見えた。
「でも楽しそうだったわよ?」
からかうように微笑むサリス。
レオはふと、その姿に目を奪われた。
湯上がりの柔らかく結い上げた髪。
赤みを帯びた頬、やや軽やかな衣装。
「……俺も、逆上せそうだ」
「え? うそ、大丈夫?!」
サリスが慌てて駆け寄ろうとした時、レオは手を上げて制した。
「冗談だ。ただ……ちょっと、見とれてただけ」
「……ばか」
二人は顔を見合わせ、同時に小さく笑った。
