エメラルドの檻③ ─Albion─【オリジナル夢】
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レオとサリスが祠の前で支度を整えていると、石畳の小道を、白い布の頭巾をかぶった女性がこちらへと歩いてきた。
「エレンさん……?」
ロルフの妻――村の母のような存在、エレンだった。
年の割には背筋がしゃんと伸びており、その腕には丁寧に布で包まれた二つの瓶が抱えられていた。
「これを持っておゆきなさい」
「エレンさん、これは……?」
サリスが瓶をそっと受け取り、手のひらの中でその温もりを感じた瞬間、ほのかに甘い香りが立ちのぼる。
「森の奥は寒いからね。温かいカボチャスープよ。しっかり栄養もとれるように、少しミルクも入れてあるんだよ」
柔らかな微笑みとともにそう言うエレンの瞳には、どこか母のような優しさが宿っていた。
革製の布がしっかり巻かれた瓶は、手作りながらも非常に保温性が高く、まだ湯気がほんのりと漏れていた。
「本当にありがとうございます」
サリスは心からの礼を込めて頭を下げた。
レオも隣で軽く頭を下げながら、そっとエレンから瓶を受け取る。
「……温かいものを渡されるのって、こんなに嬉しいものなんだな」
「ふふ、旅の人は皆そう言うよ」
エレンは一歩引き、両手を胸の前で組む。
「寒い地だけれど、精霊たちの記憶がこの地を守ってくれている。
どうか……森の中でも、何かを感じておくれ」
その言葉に、サリスは微かに頷いた。
「……感じられる気がします。きっと、精霊たちは……まだ、ここにいる」
その声には、かすかな確信が滲んでいた。
カボチャスープの瓶をリュックに収め、ふたりは祠の前を後にした。
背中には静かに祈る村の人々の気配、そして、雪解けの水音が彼らを導くように響いていた。
――その先にある森の聖域へ。
まだ誰も知らぬ、命の記憶を解き明かすために。
