エメラルドの檻③ ─Albion─【オリジナル夢】
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夕暮れの港、船出のとき。
ミュローズを出る船は、夕方の港を出航する。
帆が風を受け、ゆっくりと岸を離れていく。
甲板の上、レオとサリスは並んで海を眺めていた。
空は茜に染まり、遠くにはまだパレードの名残の音楽がかすかに聴こえていた。
「綺麗な街だったわね、ミュローズ……」
サリスが呟く。
「そうだな。俺たち、ずいぶん詰め込んだな。一週間分くらいの思い出を一日で作った気分だ」
「ふふ、ほんとに」
サリスは風に吹かれながら目を細めた。
「ビターバレン、美味しかった」
「いや、あれ三個も食べたのお前だけだからな」
「それに、ローズ・パレード。あんなに花に囲まれるなんて初めてだったわ」
「途中で目がうるうるしてたけど、あれは……感動? それとも花粉か?」
「……感動よっ!」
そう言ってむくれるサリスを見て、レオはふっと笑う。
「お前が舞台に立ったとき、すごかったぞ。観客の空気が変わるのが分かった。……俺も、目が離せなかった」
「……ありがとう」
頬を赤らめながら、サリスは小さく礼を言う。
「それでさ」
「うん?」
「また、どこかの街で音楽祭があったら……お前はまた歌うのか?」
サリスは少しだけ考えてから、ふっと笑った。
「歌いたいわ。もし、誰かの心に届くなら」
レオは空を見上げた。
「……じゃあ次は、俺も何かしようかな」
「え?」
「楽器の一つでも覚えてさ。お前の隣に立つために」
サリスは驚いて、それから目を細めて笑った。
「それは、楽しみにしてるわ。レオの演奏、きっとカモメも驚くわね」
「……いっそ沈黙を守っていた方がよかったかもな」
そう言いながらも、二人の表情には迷いはなかった。
――新しい街、新しい出会い、まだ見ぬ世界。
船は、茜色の水平線の向こうへ進んでいく。
ミュローズで得た音と花の記憶を胸に、レオとサリスはまた、次の物語へと歩み出していった。
