エメラルドの檻③ ─Albion─【オリジナル夢】
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───音楽祭直後、控え室にて。
控え室に戻ると、そこにはさっきまでの拍手と歓声とは対照的な、静けさが漂っていた。
薄紅色のカーテンが揺れる鏡台の前で、サリスはそっと腰を下ろし、胸に手を当てる。
「……終わったんだわ」
舞台ではあんなに堂々としていたはずなのに、今は膝が少し震えていた。
そこへ、扉が静かに開く音。
「おつかれ」
白い衣装のまま、レオが姿を見せた。
シャツの襟元を少し緩めながら、彼はサリスの隣に腰を下ろす。
「どうだった?……俺には、すごく綺麗に見えたよ」
「……ほんとうに?」
サリスの声は、小さく、少しだけ不安を帯びていた。
「もちろん。広場中が聴き入ってた。あれは……奇跡だったな」
レオはそう言って、そっとサリスの手を握った。
その手にはまだ、微かに緊張の名残が残っていた。
けれど、温もりは確かだった。
「……怖かったの。ちゃんと歌えるか、私なんかでいいのかって。だけど……」
サリスは、胸元にそっと手をやる。
そこには、アクアマリンのバレッタが光を受けて淡く揺れていた。
「これが、支えてくれたの。あなたからもらった、あの日の“宝物”が……」
サリスは、そのバレッタに目を落とし、わずかに笑みを浮かべた。
「俺が贈ったものに、そんな力があるなら……もう何でもあげたくなるな」
その言葉に、サリスの頬が淡く染まった。
「……それ、ちょっとずるい」
「かもな。でも本気だよ」
レオは穏やかに微笑んだ。
しばらく、ふたりの間に静かな時間が流れた。
外では音楽祭の余韻が続き、街はまだ賑やかだった。
だが、ここだけは別の世界のように、静かであたたかい。
「……ありがとう、レオ」
サリスがぽつりと呟いた。
「なにが?」
「なんでも。あなたが隣にいてくれること、全部よ」
レオは答えなかった。ただ、その手を強く握り返した。
