エメラルドの檻② ─Aura─【オリジナル夢】
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三人が並んで眠る、広々としたベッド。
静かな夜の帳が降りる中、月明かりが薄く差し込む窓辺に、風がカーテンを揺らす音だけが微かに響いていた。
レオとサリスは、アナベルを挟んでそっと呼吸を整えていた。
その時だった。
アナベルが、うつらうつらと寝返りを打ちながら、小さく口を開く。
「……おにいちゃん……おねえちゃん……おひめさまになったらね……いっしょに……おしろ……」
まるで夢の中で、二人と一緒にお城を歩いているかのように、幸せそうな寝言だった。
「……うみのなかでも……てをつないでね……」
その声に、サリスは思わず微笑む。レオも、目を細めて小さく頷いた。
「おやすみ、アナベル」
サリスがそっと囁くように言うと、小さな手が無意識にサリスの指をぎゅっと握った。
それは、あたたかく、柔らかくて……確かな絆のような、そんなぬくもりだった。
どこか遠くで、潮騒のような音が聴こえた気がした。
優しい夜が、そっと三人を包み込んでいた。
そして――それは、忘れられない旅の夜となった。
———アナベルとの別れの朝
朝霧がまだ街の石畳を包み込んでいる頃、宿の中庭には、馬車の準備をする静かな音が響いていた。
空はほんのりと橙に染まり、朝陽が目覚めかけた空をゆっくりと押し上げていた。
レオとサリスは、すでに支度を終え、中庭に出ていた。そこへ、小さな足音とともに姿を現したのは、まだ少し眠たげな目をこすりながらやってくるアナベルだった。
「……おにいちゃん……おねえちゃん……もう、いっちゃうの……?」
パジャマの裾を握りしめながら、不安そうに見上げてくるアナベル。
サリスはしゃがんで、優しくアナベルの髪を撫でた。
「そうよ。私たちは旅を続けなくちゃ。でも――」
「でも……?」
「また、きっと会えるわ。世界は広いけど、出会えた人とは、不思議とまたどこかで出会えるものよ」
アナベルの瞳が揺れる。小さな心は、まだ「別れ」という言葉の重さを完全には理解できていない。
レオが屈んで、そっと小さな手を握る。
「アナベル。お前は強い子だ。泣かなくても大丈夫だよな?」
その言葉に、アナベルは唇をきゅっと噛んで、目を潤ませながらも頷いた。
「……うん……がんばるもん」
────
支度を済ませると、ウィリアムが馬車のそばで静かに見守っていた。
彼は歩み寄ると、二人に向かって深々と頭を下げた。
「本当に、心から感謝しております。娘も……きっとこの出会いを一生忘れないでしょう」
レオはそれに軽く首を振り、
「こちらこそ。おかげでいい宿にも泊まれたしな」と少し照れたように笑う。
「アナベル」
サリスが最後に、そっと彼女の頬にキスをして微笑んだ。
「お姫さまになる夢、忘れないで。いつか、立派なお城でまた会えるかもしれないわ」
「うんっ……!ぜったい、おひめさまになって……おにいちゃんとおねえちゃんを、しょうたいするの!」
その言葉に、サリスもレオもつい笑ってしまった。
馬車が走り出す。
アナベルは窓から顔を出し、小さな手を振って叫ぶ。
「またねーっ!またぜったい、あおうねーーーっ!」
レオとサリスも、いつまでも手を振り返していた。
朝陽が彼女の金の髪を照らし、まるで光の中に溶けていくようだった。
静かな余韻の中、サリスがぽつりと呟く。
「……まるで、ほんとの家族みたいだったね」
レオは静かに頷く。
「……あぁ。でも俺たちには、まだ旅がある」
サリスはそっと笑い、
「そうね、また、あの子に誇れるような旅にしなくちゃ」
そして二人は、再び旅路へと歩き出した。
――それぞれの、運命が交差する次の物語へ向けて。
