エメラルドの檻② ─Aura─【オリジナル夢】
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森を抜けた一行は、ゆっくりと舗装された街道へと入った。空は高く、雲は羊のようにのんびりと浮かんでいる。吹き抜ける風は、森の湿り気を払い、どこか穏やかな香りを運んできた。
レオは盗賊たちを馬車の後部にしっかりと縛りつけ、逃げられないように目を配りながら前を歩いていた。革の手袋を引き締め、時折後ろを振り返っては、サリスと親子の様子を気にしている。
「ねぇねぇ、おにいちゃん!」
小さな足音とともに、金髪を揺らしながらアナベルが駆け寄ってくる。レオは目を細めて振り返る。
「ん?どうした、アナベル」
アナベルはレオをじっと見上げると、両手でスカートの裾を握りしめながら、はにかんだ笑顔を浮かべた。
「……ねぇ、レオおにいちゃんって、ほんとは王子さまなんでしょ?」
「……は?」
思わず間の抜けた声を上げたレオに、後ろからサリスの笑い声が響く。
「ふふ、どうしてそう思ったの?」
サリスがアナベルの横にしゃがみ込み、優しく尋ねると、アナベルは真剣な目で言った。
「だってすっごく強くて、かっこよくて、すぐたすけにきてくれて……お姫さまみたいなおねえちゃんといっしょに旅してるんだもん!」
「お、お姫さま……?」
今度はサリスがぽかんとした顔をして、サリスの方を見る。レオは肩をすくめて困ったように笑う。
「そっか、じゃあ俺は……ええと、王子さまってことになるのか?」
「うんっ!」
アナベルは誇らしげに頷く。その無垢な笑顔を見て、レオとサリスは思わず顔を見合わせ、吹き出してしまった。
「じゃあ、王子さまはお姫さまをしっかり守ってあげないとね」
「まったく……責任重大だな」
冗談めかして言いながらも、レオはサリスの方をちらりと見る。その視線に気づいたサリスは、小さく微笑みを返す。そうして小さな旅の会話は続いていった。
途中の草原では、アナベルが花を摘んでは、サリスに手渡し、冠のように編んでもらった。サリスはそれをアナベルの頭に乗せ、彼女は嬉しそうにくるくると回って笑っていた。
レオはそんな二人を少し離れたところから見守っていたが、アナベルが今度は草の茂みで何かを見つけて駆け寄る。
「おにいちゃんみて!ちっちゃいカエル!」
「……うわ、それはちょっと遠慮したいな」
「ふふ、王子さまでもカエルは苦手なのね」
「王子っていうのはもっとスマートで優雅なんじゃなかったのか?」
「あれー?王子さまがにげたー!」
わいわいと笑い声が響き、旅の疲れも少しずつほぐれていった。
一方でウィリアムは、旅の最中もたびたび礼を口にしながら、丁寧にレオとサリスの名前を覚え、時折商人としての観察眼で、二人の間に流れる微妙な距離感をじっと見ていた。けれど、それを口にすることはなかった。ただ、アナベルの笑顔が戻ったことに、何よりも深く感謝していた。
やがて、昼下がりの陽が傾きはじめたころ。
丘の上に差しかかると、遠くに石造りの高い城壁と塔の影が見えはじめた。太陽の光を浴びて白く輝くその街の名は──ヴェルリナ。
「見えてきました!あれがヴェルリナの街です!」
ウィリアムが馬車から声を上げる。アナベルも「わあ!」と声を上げ、身を乗り出して街を見つめていた。
門の前では、街を守る兵士たちが列を成し、行き交う人々を丁寧に確認していた。街道を封鎖するように二人の兵士が槍を手に立っていたが、馬車が近づくと、ひとりが進み出て合図をする。
「止まりなさい。用件を──……って、あれは……」
馬車の後ろに縛られた盗賊達の姿を見た瞬間、兵士の顔色が変わった。
「盗賊か!?連行されているのか!?」
レオは静かに頷き、一歩前へ出た。
「街道で襲っていた連中だ。身元は不明だが、武装していて、明らかに常習だろう。俺たちが取り押さえた」
兵士は仲間と顔を見合わせ、即座に態度を改めた。
「感謝します、旅のお方。街の治安にご協力いただき、本当にありがとうございます。こちらで引き取り、正式に取り調べを行います」
「頼む。証言が必要なら、滞在先に連絡してくれ」
レオはそう告げると、兵士たちに縄を渡し、盗賊たちの引き渡しを終えた。
そのやり取りを見守っていたアナベルは、再びレオの後ろから小さな手で服の裾をつまんだ。
「ねえ、やっぱりレオおにいちゃんって……ほんとの王子さまみたい……」
レオは苦笑しながらしゃがみ、アナベルの目線に合わせて言った。
「王子さまかどうかはわからないけど……アナベルが笑ってくれたら、それだけで十分だよ」
「……えへへ」
アナベルははにかんで笑い、サリスがその様子をそっと見守っていた。
彼らの旅はまだ続く。だが、確かにこの一日は、小さな誰かの心に「物語の一章」として刻まれた。
──まるで、王子さまとお姫さまのように。
レオは盗賊たちを馬車の後部にしっかりと縛りつけ、逃げられないように目を配りながら前を歩いていた。革の手袋を引き締め、時折後ろを振り返っては、サリスと親子の様子を気にしている。
「ねぇねぇ、おにいちゃん!」
小さな足音とともに、金髪を揺らしながらアナベルが駆け寄ってくる。レオは目を細めて振り返る。
「ん?どうした、アナベル」
アナベルはレオをじっと見上げると、両手でスカートの裾を握りしめながら、はにかんだ笑顔を浮かべた。
「……ねぇ、レオおにいちゃんって、ほんとは王子さまなんでしょ?」
「……は?」
思わず間の抜けた声を上げたレオに、後ろからサリスの笑い声が響く。
「ふふ、どうしてそう思ったの?」
サリスがアナベルの横にしゃがみ込み、優しく尋ねると、アナベルは真剣な目で言った。
「だってすっごく強くて、かっこよくて、すぐたすけにきてくれて……お姫さまみたいなおねえちゃんといっしょに旅してるんだもん!」
「お、お姫さま……?」
今度はサリスがぽかんとした顔をして、サリスの方を見る。レオは肩をすくめて困ったように笑う。
「そっか、じゃあ俺は……ええと、王子さまってことになるのか?」
「うんっ!」
アナベルは誇らしげに頷く。その無垢な笑顔を見て、レオとサリスは思わず顔を見合わせ、吹き出してしまった。
「じゃあ、王子さまはお姫さまをしっかり守ってあげないとね」
「まったく……責任重大だな」
冗談めかして言いながらも、レオはサリスの方をちらりと見る。その視線に気づいたサリスは、小さく微笑みを返す。そうして小さな旅の会話は続いていった。
途中の草原では、アナベルが花を摘んでは、サリスに手渡し、冠のように編んでもらった。サリスはそれをアナベルの頭に乗せ、彼女は嬉しそうにくるくると回って笑っていた。
レオはそんな二人を少し離れたところから見守っていたが、アナベルが今度は草の茂みで何かを見つけて駆け寄る。
「おにいちゃんみて!ちっちゃいカエル!」
「……うわ、それはちょっと遠慮したいな」
「ふふ、王子さまでもカエルは苦手なのね」
「王子っていうのはもっとスマートで優雅なんじゃなかったのか?」
「あれー?王子さまがにげたー!」
わいわいと笑い声が響き、旅の疲れも少しずつほぐれていった。
一方でウィリアムは、旅の最中もたびたび礼を口にしながら、丁寧にレオとサリスの名前を覚え、時折商人としての観察眼で、二人の間に流れる微妙な距離感をじっと見ていた。けれど、それを口にすることはなかった。ただ、アナベルの笑顔が戻ったことに、何よりも深く感謝していた。
やがて、昼下がりの陽が傾きはじめたころ。
丘の上に差しかかると、遠くに石造りの高い城壁と塔の影が見えはじめた。太陽の光を浴びて白く輝くその街の名は──ヴェルリナ。
「見えてきました!あれがヴェルリナの街です!」
ウィリアムが馬車から声を上げる。アナベルも「わあ!」と声を上げ、身を乗り出して街を見つめていた。
門の前では、街を守る兵士たちが列を成し、行き交う人々を丁寧に確認していた。街道を封鎖するように二人の兵士が槍を手に立っていたが、馬車が近づくと、ひとりが進み出て合図をする。
「止まりなさい。用件を──……って、あれは……」
馬車の後ろに縛られた盗賊達の姿を見た瞬間、兵士の顔色が変わった。
「盗賊か!?連行されているのか!?」
レオは静かに頷き、一歩前へ出た。
「街道で襲っていた連中だ。身元は不明だが、武装していて、明らかに常習だろう。俺たちが取り押さえた」
兵士は仲間と顔を見合わせ、即座に態度を改めた。
「感謝します、旅のお方。街の治安にご協力いただき、本当にありがとうございます。こちらで引き取り、正式に取り調べを行います」
「頼む。証言が必要なら、滞在先に連絡してくれ」
レオはそう告げると、兵士たちに縄を渡し、盗賊たちの引き渡しを終えた。
そのやり取りを見守っていたアナベルは、再びレオの後ろから小さな手で服の裾をつまんだ。
「ねえ、やっぱりレオおにいちゃんって……ほんとの王子さまみたい……」
レオは苦笑しながらしゃがみ、アナベルの目線に合わせて言った。
「王子さまかどうかはわからないけど……アナベルが笑ってくれたら、それだけで十分だよ」
「……えへへ」
アナベルははにかんで笑い、サリスがその様子をそっと見守っていた。
彼らの旅はまだ続く。だが、確かにこの一日は、小さな誰かの心に「物語の一章」として刻まれた。
──まるで、王子さまとお姫さまのように。
