エメラルドの檻② ─Aura─【オリジナル夢】
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レオの肩の傷もほとんど癒え、旅を再開する準備が整った頃。
街の郊外、小さな丘の上にある古い祠を訪れたレオとサリスは、思いがけない人物と再会する。
「……リオン」
陽に透ける木々の間に、青みのある黒髪が風に揺れていた。
背を向けたまま、彼は何かを考え込むように立っていたが、二人の気配に気づくと、ゆっくりと振り返った。
「……来たか。いや、来てくれて、嬉しいよ」
彼の声は前とは違っていた。
どこか柔らかく、けれど心の奥底には消えない寂しさが残っている。
「体は……もう大丈夫なのか?」
レオが頷くと、アラリオンはほんのわずか、微笑んだ。
「……人間のくせに、なかなかしぶといな」
そう言いながらも、彼の金の瞳には敵意はなかった。
少しの沈黙の後、アラリオンがふっと目を細めてサリスを見た。
「……リオン」
彼女は一歩、アラリオンに歩み寄る。
「私……あなたとちゃんと話せてよかった。過去は戻らないけれど、あなたは大切な友達だった」
「……だった、か」
少し寂しげに笑うアラリオン。
その目には、もう戦いの時の険しさはなかった。
彼はゆっくりレオのほうへ歩み寄った。
互いに数歩の距離を取りながら、金と琥珀の瞳が交差する。
「レオ……と言ったな。サリスを泣かせたら――」
言葉のトーンがわずかに低くなる。
「……その時は今度こそ、本気で取り返しに行く。覚えておけ」
レオはわずかに肩をすくめて、
「……その時は、手加減しないぞ」と真顔で返す。
二人の間に、一瞬だけ火花が散ったような空気が流れたが――
次の瞬間、アラリオンがふっと笑った。
「冗談だよ。……たぶんな」
そして彼は、そっとサリスの前に立つ。
「幸せに。……それだけは、願っている」
彼女の頬に、迷いなく唇を寄せた。
頬に軽く触れるだけの、別れのキス。
サリスの目が丸くなり、レオは一拍置いてから我に返る。
「おいっ!お前――!」
レオの声に、アラリオンはくるりと背を向け、肩をすくめる。
「礼儀だ。最後のな」
風が吹き抜け、黒髪が空に舞う。
そしてアラリオンは、振り返ることなく手を軽く挙げながら、森の小道へと歩き出した。
その背はどこか寂しげで、でも確かに、一歩ずつ前へと進んでいた。
「……ありがとう、リオン」
サリスが小さく呟くと、その言葉は風に乗り、彼の背中へと届いたようだった。
わずかに彼の肩が動くのが、二人の目に映った。
そして森の中に、その姿は消えていった。
