エメラルドの檻② ─Aura─【オリジナル夢】
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昼下がりの商業区。石畳の通りを行き交う人々の間を、サリスは小走りに歩いていた。
「うーん、レオへの贈り物って何がいいのかしら……剣? ううん、そういうのはレオの方が詳しいし……」
並ぶ露店や商店の軒先を、一つひとつ覗いてまわる。
革細工の手袋、旅人用の頑丈なマント、香ばしい焼き栗……どれも旅人の必需品だけれど、特別な“贈り物”にはちょっと違う。
「レオに似合うもの、レオだけに似合うものがいいのに……」
ふと、路地裏の先にひっそりと佇む小さな店が目にとまった。木の扉に吊るされた看板には「銀細工工房 ルーチェ」とある。
扉を押すと、やさしい金属音とともにベルが鳴り、小さな銀の鈴が揺れた。
「いらっしゃいませ」
奥から現れたのは年配の女性職人。店内には細やかな銀のアクセサリーや飾りが、陽の光を浴びて静かにきらめいていた。
サリスは目を輝かせながら並ぶ品々を見つめる。
「これ、すごく素敵……」
その中で、ひときわ目を引いたのは、小さな狼のモチーフが彫られた銀のペンダントトップだった。
「この狼……レオに似てる。どこか寂しげだけど、強くて、優しくて……」
「それは“守護の牙”と呼ばれていてね。旅人の安全を祈る意味があるんですよ」
「……ください、それにします!」
サリスは包んでもらった小箱を胸に抱き、店をあとにした。風が栗色の髪を揺らす。さっきよりもずっと軽やかに。
⸻
帰り道
「レオーっ! 待たせたわね!」
街の噴水広場で本を読んでいたレオが顔を上げる。サリスの手には、きれいな赤いリボンの包み。
「これ、レオへの贈り物。……いつも守ってくれてるお礼と、一年目の記念に」
「……ありがとう、サリス」
レオは丁寧に包みを解き、中身を見て目を瞬かせた。
「これは……狼のペンダント?」
「“守護の牙”って言うんだって。旅人の無事を祈る意味があるのよ。レオにぴったりだと思って」
レオは一瞬、言葉に詰まった。
「……すごく、嬉しいよ。俺にとって一番の護符は……お前自身だけどな」
サリスの頬がふっと赤くなる。
「もう、レオったら……!」
そんな彼女の手を、レオはそっと取った。
「ありがとう。大切にする。……これからも、ずっと隣にいてくれ」
「もちろんよ、レオ」
――寄り添う二人の影が、夕暮れの道に長く伸びていた。
