コレーの夢
夢主(あなた)の名前
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神殿の柱陰に座り、美しいお花畑を見ながら大好きな神様のことを想う。そんな時間は、私にとって心地よい時間だった。
「夢子」
突然タナトス様に呼び止められ、私は振り返った。
「は、はい!タナトス様!」
「そう慌てるな。お前に分けてやろうと渡しに来た…受け取れ。」
タナトス様が差し出したものを見れば、丸くて赤く小さな果実。
「これは…」
「エリシオンにしか生らぬ実だ。ニンフ達の好物でもある。」
とても美味しそうだけれど、私が食べていいものかしら。タナトス様はその綺麗な銀の瞳で、私を見つめてくださっている。
「フ…食わぬのならオレが貰おう。人間には過ぎる極上の味だがな。」
「た、食べる!ちょうだい!」
せっかくタナトス様が下さるというのに躊躇ってなんかいられない。私はタナトス様の手から赤い果物をとり、口に運んだ。
しゃりっー
鼻孔を突き抜ける甘美な香りと爽やかな甘さに、私は驚いた。
(エリシオンにいるとあまりお腹が減ることはなかったけど…これはなんておいしいのっ…)
「美味いか?」
「ええ、ええ!…っこんな美味しい果物をいただけて幸せだわ。ありがとうタナトス様!」
タナトス様は果物を頬張る私を優しく見つめていた。いつになく優しい瞳で…。
くらい、ちのそこ。
「ザクロの実を4粒食べてしまった…ペルセポネ様はもう地上には戻れない。」
「ああ、コレー!私の愛しいコレー…冥界から帰っておいで!」
「お母様、私はもう…」
ああ、おもいだした。このおはなしは…。ちいさいころにみた、めいかいのおうさまとはるのおとめのおはなしだ。
「っ……はあ、はあ、」
どんな夢を見ていたのかすら思い出せない。記憶が曖昧で、靄がかかっているような感覚へと陥る。全身にまとわりつく汗の気持ち悪さから逃げたくなり、私は神殿から抜け出した。
頬をなでるエリシオンの緩やかな風を感じ私がお花畑を見つめぼうっとしていると、大好きな神様の声が私の名を呼んだ。
「夢子、眠れぬのか。」
「…タナトス様…わたし、変な夢を見ていたようで…。」
そういえば、どんな夢を見ていたのかしら。記憶の糸を手繰り寄せるように瞼を閉じれば、背後からタナトス様の手が肩に添えられた。
「あの果実を食いたければまたニンフ達に言っておこう。お前も気に入っていた、と。」
果実……を、食べた……。ああ、そうだわ…
「!!っ…」
私の食べたものはザクロではなかった。それでも、冥界であるエリシオンのものを口にすればどうなるか。
私はゆっくりとタナトス様のほうへ振り向いた。
「ペルセポネ様は冥界のザクロの実を4粒食べて地上に帰れなくなったのよね。じゃあ…実を全て食べた私はどうなるの?」
タナトスさまは私の頬に手を添え、綺麗な指で私の唇をなぞり囁いた。
「言わねば分からぬか?それを承知でエリシオンの果実を口に含んだのであろう?」
彼は全てお見通しだった。私がエリシオンを出るはずがないことを。心も魂も…貴方様に捕らわれていることを承知であの甘美な実を私に与えてくれたのだ。
「私…ずっとエリシオンにいていいのね。」
「散々居座っておきながら何を言っている。神から逃げられる自信があるのならば別だがな。」
タナトス様の銀の瞳に映されることは、私にとって至上の喜びだった。
永遠に、永遠に……貴方様のそばへ居られるならば私は構わないの。
「夢子」
突然タナトス様に呼び止められ、私は振り返った。
「は、はい!タナトス様!」
「そう慌てるな。お前に分けてやろうと渡しに来た…受け取れ。」
タナトス様が差し出したものを見れば、丸くて赤く小さな果実。
「これは…」
「エリシオンにしか生らぬ実だ。ニンフ達の好物でもある。」
とても美味しそうだけれど、私が食べていいものかしら。タナトス様はその綺麗な銀の瞳で、私を見つめてくださっている。
「フ…食わぬのならオレが貰おう。人間には過ぎる極上の味だがな。」
「た、食べる!ちょうだい!」
せっかくタナトス様が下さるというのに躊躇ってなんかいられない。私はタナトス様の手から赤い果物をとり、口に運んだ。
しゃりっー
鼻孔を突き抜ける甘美な香りと爽やかな甘さに、私は驚いた。
(エリシオンにいるとあまりお腹が減ることはなかったけど…これはなんておいしいのっ…)
「美味いか?」
「ええ、ええ!…っこんな美味しい果物をいただけて幸せだわ。ありがとうタナトス様!」
タナトス様は果物を頬張る私を優しく見つめていた。いつになく優しい瞳で…。
くらい、ちのそこ。
「ザクロの実を4粒食べてしまった…ペルセポネ様はもう地上には戻れない。」
「ああ、コレー!私の愛しいコレー…冥界から帰っておいで!」
「お母様、私はもう…」
ああ、おもいだした。このおはなしは…。ちいさいころにみた、めいかいのおうさまとはるのおとめのおはなしだ。
「っ……はあ、はあ、」
どんな夢を見ていたのかすら思い出せない。記憶が曖昧で、靄がかかっているような感覚へと陥る。全身にまとわりつく汗の気持ち悪さから逃げたくなり、私は神殿から抜け出した。
頬をなでるエリシオンの緩やかな風を感じ私がお花畑を見つめぼうっとしていると、大好きな神様の声が私の名を呼んだ。
「夢子、眠れぬのか。」
「…タナトス様…わたし、変な夢を見ていたようで…。」
そういえば、どんな夢を見ていたのかしら。記憶の糸を手繰り寄せるように瞼を閉じれば、背後からタナトス様の手が肩に添えられた。
「あの果実を食いたければまたニンフ達に言っておこう。お前も気に入っていた、と。」
果実……を、食べた……。ああ、そうだわ…
「!!っ…」
私の食べたものはザクロではなかった。それでも、冥界であるエリシオンのものを口にすればどうなるか。
私はゆっくりとタナトス様のほうへ振り向いた。
「ペルセポネ様は冥界のザクロの実を4粒食べて地上に帰れなくなったのよね。じゃあ…実を全て食べた私はどうなるの?」
タナトスさまは私の頬に手を添え、綺麗な指で私の唇をなぞり囁いた。
「言わねば分からぬか?それを承知でエリシオンの果実を口に含んだのであろう?」
彼は全てお見通しだった。私がエリシオンを出るはずがないことを。心も魂も…貴方様に捕らわれていることを承知であの甘美な実を私に与えてくれたのだ。
「私…ずっとエリシオンにいていいのね。」
「散々居座っておきながら何を言っている。神から逃げられる自信があるのならば別だがな。」
タナトス様の銀の瞳に映されることは、私にとって至上の喜びだった。
永遠に、永遠に……貴方様のそばへ居られるならば私は構わないの。