青学編
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ヨーグルト』
*このお話は短編『何も言えなくて~』中のエピソードとの連動です。
「高寺はいるか?」
ある日の授業開始前、七星のクラスに海堂が顔を出した。
「海堂先輩?」
これには七星も驚いた。あまり下級生のクラスにやってくるというイメージが湧かないからだ。
「これ……」
どうされたんですか、という七星の問いに、海堂はそっと小ぶりなポリ袋を差し出した。
「え……」
受け取った手には、意外な重さを感じる。
「これは?」
「それは……」
言いかけた海堂にかぶるように予鈴が鳴り始めた。
「ちっ、この間の礼だ。じゃな」
頭上から降る予鈴を睨みつけた海堂は、言うだけ言うと自分の教室へと踵を返した。
「あ、海堂先輩」
だが呼びかけた後ろ姿は、すぐにそれぞれの教室に向かう生徒達に紛れてしまった。
「何だろう」
ポリ袋を覗くと、綺麗にラッピングされたどっしりとしたビンが見える。中を確かめるのは昼休みが無難かな、と昼食まで待つことにした。
「それが朝に海堂先輩から貰ったやつ?」
お昼になり、机を合わせて友達の春菜と向かい合わせに座る。
「うんそう。何だろう、お礼って言われたんだけど」
ラッピングをほどきビンを取り出すと、中は八分目くらいまで白く埋まっている。
「もしかしてヨーグルト?」
「そうみたい」
「あたしスプーンあるよ」
春菜がお箸とフォークもセットされたケースからスプーンを外すと渡してくれた。
「あ、美味しい」
お弁当のフタに取り分けて口に含むと、芳醇でふくよかな味わいが広がった。
「ほんと? 自家製かな? あたしもいい?」
「どうぞ」
「おほう、美味しい!」
春菜も目を丸くする。