青学編
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眼鏡越しに乾先輩が穏やかに微笑んだ。
「宇宙には無数の星があるということだ」
「そうですね…」
あたしも、頭の中に写真でしか見たことのない、遥か遠くの星々を思い浮かべた。
「あたしは、恒星が生まれるところ、星雲を見てみたいなって思います」
「へえ、例えば?」
「オリオン星雲やわし星雲、馬頭星雲などです」
乾先輩は、おかずもあたしにすすめながら聞いてきた。
「ふうん…オリオン星雲は1500光年。わし星雲は7000光年。馬頭星雲は1100光年だな」
「果てしないですよね…」
唐揚げをひとつ頂いて、ため息が出た。
夜空を仰いで自分の目で見ることは叶わない、例え光に身をやつしても千年を越える旅…。
「なぜ宇宙ってこんなにも広いんでしょうか」
漠然とした疑問を何とはなしにつぶやいた。
「そうだな…」
乾先輩はもう一度空を見上げると、同じようにつぶやいた。
「母なる地球、母なる海と言うだろう?」
「はい」
「地球の生物は皆、海から生まれている」
風がざわざわと葉陰を通り抜けていく。
「順に説明すれば、銀河が数個から数千個集まったものを、銀河群あるいは銀河団と呼ぶ。そしてこれらの銀河群や銀河団が連なって、超銀河団と呼ばれる構造を作るんだ。で、宇宙はこの超銀河団が密集した膜のような領域と、銀河をほとんど含まない空洞の領域からなっているわけだが、ちょうど泡の集まりのような感じになる」
「泡…」
宇宙に漂う膨大なシャボン玉を想像してしまった。