青学編
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「よーし、決定ーっ! 後で手塚にも連絡して、竜崎先生にも来て貰う?」
たたっと校門目指して走りかけた菊丸先輩が振り返り、あたし達の反応を待った。
「それがいいよね、テニス部みんなでお花見しよう」
不二先輩が同意を得るように乾先輩を見ると、乾先輩もうなずいた。
「よっし、OK~。先に朝練の連中に声かけて来るよん」
Vサインとウィンクを見せると、菊丸先輩はまた校門目指して一気に駆け出した。
みるみる先輩の背中が遠のき、登校中の生徒達に紛れていった。
「もちろん七星ちゃんも参加だよ」
「え、でも……」
テニス部のお花見だから、と遠慮しようとしたら
「君が来ないと参加人数が減ってしまう。すなわち、春の乾汁バージョンを試せる人数も減って、データが不十分になってしまう」
眼鏡を押し上げつつ、悩むような表情を乾先輩がした。
「え……」
それは、あたしと関係ないんじゃないかと言おうとしたら、先に不二先輩が楽しそうに聞いた。
「春の乾汁って、どんな感じなの?」
「ポップでキュートだ」
(……どんな飲み物よ)
突っ込みたかったけど我慢した。
「七星ちゃんは、全国大会まで一緒に応援してくれたんだもの、テニス部の立役者だよ。だから、来てね」
きゅっと不二先輩はあたしの手を握った。
「あ、は、はい」
これで断ろうものなら開眼100%でニッコリ微笑まれるだろう。
『迎えに行くよ』
って。
「迎えに行くから、お弁当よろしくね」
心を読んだかのように、不二先輩は微笑んだ。
予鈴が春の陽射しに響く中、あたしは教室へと急いだ。
窓の外にはまだ蕾だけの桜が並ぶ。
あと少し……。
学び舎に先輩達の声が聴けるのも、姿が垣間見えるのも、桜が咲くその日まで。
あと幾日で600℃――。
fin.