青学編
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「桜は、その年の1月1日から1日の平均気温を足していって、その合計が600℃になると開花するんだそうだ」
「へぇ……」
あたしは先輩の言葉に、もう一度桜の枝を振り仰いだ。
「そんな法則があるんだ……」
呟くようにまだ硬い、でも着実に春の陽射しを感じて日々膨らみを増している蕾を見つめた。
「東京地方の気温では、今年の3月1日までですでに435℃に到達している。2月が割に暖かかったからな」
「え……」
するとどうなるんですか、という顔を思わず乾先輩に向けた。
「開花予想は3月19日だ。ちなみに青森の弘前では4月20日になる」
「19日?」
「ああ」
「…卒業式じゃないですか」
「そうだな」
ふふ、と愉快そうに乾先輩は笑った。
でも、入学式につきものの桜が卒業式に咲いてしまったら、今年の入学式は葉桜になってしまう。
(どうしよう……)
別に自分に何かあるわけでもないのに、焦ってしまう。
「20年前の3月1は334℃だった。その年の桜は3月31が開花日だ」
「え……。ひゃ、100度も違うんですか?」
あまりの数字の大きさにびっくりした。
「温暖化と一口で言えるかわからないけど、弘前の桜も通常はゴールデンウィークに咲くものだったんだ」