一筆箋
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『格子窓』
障子越しの光は優しく柔らかい。そして木々や鳥達の穏やかな輪郭の影を、揺らして写す。
「……」
庭からは、風にそよぐ葉ずれの音が聴こえる。
真田弦一郎は、先ほどから畳の上に正座し、ただじっと瞑想でもしているかのように動かない。
庭の気配を運び込む障子の向こうから、時折鳥の声と枝先から羽ばたく姿、葉のざわめきが影絵のように踊る。
一陣の風が、この春最後の桜を散らしていく。
花びらが一枚、この部屋にもゆるやかに舞い落ちて来た。真田の目がカッと見開かれたと同時に、脇に置かれていた居合い刀が鞘から抜き放たれ、真田の前を真一文字に光が走った。
立て膝の姿勢で構えたまま、微動だにしなかった真田の手の刀が、ゆっくりと鞘に吸い込まれるように戻っていく。
畳の目に舞い降りた桜の花びらは、二枚になった。
fin.
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