一筆箋
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『本屋』
本屋を見て歩くのは好きですね。気に入った分野の立ち読みを始めたら止まりません。
新刊もいいですが、古本もこだわりません。手が出なかった蔵書も、半値近くになっていたなら惹かれることも多々ありますね。
「柳生やなか」
「おや、仁王くんじゃありませんか」
ばったりと、同じテニス部員同士が休日の昼下がりに街の本屋で出くわした。
「何を買いにいらしたのですか?」
「ん~、参考書でもと思ったんじゃが、今イチ乗れる本があらんのう」
ポケットに手を突っ込んだ仁王は、棚に並ぶ参考書の背表紙を眺めるだけだった。
「そう言うお前さんは?」
柳生に顔を向けた仁王の目には、先ほどから量子学の本を手にした相方の姿が入っている。
「ちょっと読んでみたら面白かったので」
「ほう」
元の場所に本を戻した柳生は、
「私も参考書を見てみますか」
そうつぶやいた。
「じゃあな、柳生」
「はい、仁王くん。中間が終わりましたら、また」
それで二人は左右に別れた。どうせまた学校で会うだろう。
試験が終わればまた部活が始まる。
王者を目指して。
fin.