一筆箋
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『拍手』
たくさんの人からの拍手を受けたのは、いつが初めてだったろう。
今まで数知れないほどの拍手をされて来た。
会長として壇上に上がる時、部長として表彰される時、そして勝者として栄光を手にした時…。
そのどれもが自分にはふさわしいものだった。
拍手は雨の音に似ていると思う。ひと雫の囁きから、視界を遮るスコールのような連続音まで。
だが、どれもが心地よい響きを醸し出す。
緊張感も達成感も、拍手の雨音が与えてくれる。
今、その音が自分を迎えてくれる。
カーテンコールだ。
「ふ…仕方ねぇな」
新入生歓迎会で生徒会+テニス部の余興の一環として、ピアノとヴァイオリンの三重奏曲をやったのだ。
「ほな、行こか跡部」
「行きますよ。跡部部長」
忍足と鳳が、体育館ステージの袖から揃って振り向いて言った。
ビロードのカーテンが左右に開くと、拍手と興奮した新入生の声が館内に響き渡る。
「今年も跡部様々やな」
「まぁ、跡部部長目当てに受験してくる人達もいますからね」
グランドピアノの前に立った跡部が高らかに指を鳴らすと、拍手の雨も歓声もピタリとやんだ。まるで雲間を割って光が差すように。
fin.