青学編
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不二がチラリとクリームコロッケを頬張る乾を視界に入れると、乾の逆光レンズが光ったように見えた。
「さて、今日は4年に1度の不二の誕生日だな」
その乾が、コロッケを飲み下すとおもむろに言った。
「え…不二先輩お誕生日なんですか!? おめでとうございます!」
七星がびっくりしたように姿勢を正すと頭を下げた。
「え、いや七星ちゃんいいって」
つられて不二も姿勢を直して手を左右に振った。
待ち兼ねていた言葉なのに、今ここで仲間の前で言われてもあまり嬉しくないということを感じただけだった。
(不二先輩のお誕生日だなんて…どうしよう、知った以上何かあげないと悪い…わよね?)
七星はデザートのりんごを口元に運びながら思案に暮れる。
「不二先輩、お誕生日おめでとうございます」
放課後になっても“不二参り”は途絶えず、後輩指導で顔を出しているテニスコートにも次々と女子がプレゼントを渡している。
「そろそろ俺達は帰るが、お前達は時間までやって行け」
ひと通りの練習が済むと、手塚以下3年がコートから引き揚げ1、2年の姿だけがボールを追う。
「あれ…不二先輩いない…」
急ぎ足でフェンス越しにコートを眺めた七星だが、すでに不二の姿がないことに焦りを感じた。
(もうお家に帰っちゃったんだ…)
「大漁だな不二」
「でも…どうやって持って帰ろうかな…」
その頃の不二は、テニス部の部室で一日かけて持ち込まれたプレゼントの山の前でため息をついていた。
「手提げの紙袋と、スーパーのポリ袋なら何枚かあるが?」
手塚が部室の備品入れから幾枚かの袋を出してくれた。
「ありがとう手塚。これなら何とかまとまりそうだよ」
バレンタインのチョコレートと違い、誕生日プレゼントとなると形も大きさも様々だ。仲間の助けを借りて不二は荷造りすると、大きな荷物を両手に下げて帰った。
「ただいま…あれ…?」
家の玄関を開けたとたん、きちんと揃えられたスニーカーが不二の目に入った。
(裕太の靴にしては小さいし…姉さんのじゃないし、誰のだろう)
揃えられた靴を横目に見ながら不二は自分の靴を靴箱にしまった。
「お帰り周助、部活してない割に遅いじゃないさ」
スリッパの音をパタパタとさせながら姉の由美子が居間から出て来た。