箱庭~話の花束~Episode1〜
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『勘違い』
「あ、幸村部長。それ可愛いっスね」
放課後の部活が終わり、それぞれ帰り支度をする中、切原が幸村が手にした携帯の待受画面を覗き込んで言った。
「だろ? 他のもあるよ。見る?」
「お願いしまっス」
「何ですか?」
機嫌よく笑い、切原に写真のファイルを開く幸村に柳生も興味を寄せる。
「ああ、これは可愛らしいですね」
柳生もうなずき口元をほころばせた。
「何じゃ?」
「何だよ?」
仁王に丸井も集まる。
「お、ほんとだ! 超可愛いじゃん」
「何が可愛いのだ?」
一人離れて黙々と着替えていた真田も、好奇心に負けたのか幸村を取り巻くメンバー達をチラリと見た。
「メインクーンだよ。昨日、親戚の家に来たんだ」
「……メインクーンだと……」
真田は眉をひそめてつぶやく。
「小さくて可愛いっスよ! 真田副部長も見てくださいよ」
切原が呼ぶが、
「なぜあれが可愛いのだ……?」
真田はわずかに目を開き、改めて幸村達を見た。
「うーん、好みもあるけど……弦一郎は違う品種がタイプなのかな?」
幸村が首をかしげる。
「いや、俺に好き嫌いなどない。どれも残さず食べる」
「え!?」
「……え?」
「ええっ!?」
きっぱりと言い切る真田にメンバーから驚愕の声が上がる。
「さ……真田副部長……猫……食べちゃうんスか……?」
引きぎみの切原。
「……猫……だと?」
真田の動きが止まる。
「え……と、弦一郎は何だと思ったの?」
動画も撮ったらしく、時折り幸村の携帯から仔猫のか細い声が静まり返った部室に流れる。
「……ジャガイモのことではないのか……?」
疑問を感じ眉を寄せつつも、真田は幸村をしっかりと見据えた。
「……弦一郎、それ……メイクイーン……」
「……そ、そうか。で、では、先に失礼する」
一瞬固まった真田は、すぐさまバッグを掴むと帽子を深くかぶり、威厳だけは背中に残し部室の扉を閉めたが、急いで駆け去る足音がそれぞれの耳に届いた。
数秒後、その部室は爆笑の渦に飲まれた。
「ぶ、部長……俺、笑ったら副部長に殴られると思って、必死に笑いをこらえたっスよ~」
机を叩き、涙目で笑いながら切原が体を揺らす。
他のメンバーも腹をかかえ、身をよじって笑い転げた。
「ふふ、弦一郎も案外可愛いね」
幸村も静かに微笑むと携帯を閉じた。
fin.