青学編
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「ダメだよ、七星ちゃん。せっかく来てくれたんだから、ゆっくりしてくれないと帰さないよ」
先輩がニコニコしながら居間の扉を開けた。
「周助ったら、可愛いらしい子じゃない。やるわね」
「でしょ? だから…」
「ハイハイ、お邪魔虫は消えますよ。じゃね七星さん、ゆっくりしていってね。でないと、周助が泣いちゃうから」
「姉さんっ!」
「ふふ~」
お姉さんが先輩をからかうように笑って扉を閉めた。
会話の前半は小声だったから、よく聞き取れなかった…何を言われたんだろう…ちょっと気になる。
「まったく…ゴメンね。姉さんて無遠慮に物を言うから」
扉が閉まるのを確認すると、不二先輩はあたしの斜め横のソファに腰を降ろしながら言う。
「いえ、でもお姉さんて不二先輩に似て綺麗な方ですね」
「そう? じゃ伝えておくよ。僕に似ては面白くないだろうけど、綺麗は喜ぶよ」
紅茶のカップを手に取ると、先輩は柔らかく微笑んだ。
「じゃ、送るよ」
先輩の家を出た頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。
「ねぇ、また来年も柚子ジャム作ってくれる?」
来年…来年はもう先輩は高校生なんだ…。
「はい」
一年がとてつもない未来に感じた。
柚子は変わらず実るかな…。見上げた空に柚子色の月が昇っていた。
fin.