箱庭~話の花束~Episode1〜
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『グリーンカーテン』
今年の夏は節電が騒がれる。
「暑いナリ~」
部室に入るやいなや仁王がぼやいた。
「まったくだぜ。部室にもエアコンが欲しいってもんだ」
丸井もバッグから下敷きを取り出すと、勢いよくあおいだ。
「仕方ねぇって。部室なんだから」
「そうですね」
ジャッカルと柳生は冷静だ。
「でも、ブン太の言い分も一理あるよね」
部室の窓から強烈に射し込む西日に顔をしかめると、幸村が言った。
「かと言って、テニス部だけエアコン導入というわけにもいくまい」
「まあね、部室の使用は着替えとミーティングくらいだし、その程度の案件で学校側が設置するとはとても思えない」
いくら王者立海と言えども、と柳の言葉に同意した。
しかし、暑いものは暑い。
「というわけで、天然クーラーを起用するよ」
「え?」
「何するんじゃ」
幸村が部室に揃えたのは、いくつかのプランターに用土、肥料、ネットに細い支柱、幾分伸びた何株かの苗だった。
「これはもしや、この間の余りか?」
それらを見た柳が、先日校内で行われたグリーン作戦の事を思い出した。
「そう、園芸部とは懇意にしてるからね、ちょっと分けて貰った」
嬉しそうに幸村が笑った。
「ああ、校舎の南側の窓を植物でよしず張りにしていたあれか?」
真田も職員と園芸部員が暑い中、懸命に作業していた姿を思い出す。
「そう、あれ」
笑顔の幸村に、なぜかレギュラーは部室の暑さを忘れた。
「幸村くん、これ何か実がなるのか?」
1、2年生部員が作業に取りかかるのを横目に見ながら丸井が聞いた。
「キュウリにへちまにゴーヤ」
「……」
「収穫したらキュウリ祭、へちま祭、ゴーヤ祭をしよう」
どこかウキウキとしている幸村に、
「精市はガーデニングが趣味だからな」
そう真田が言った。
素直に取るべきか、裏があると読むべきか。
鈴なりに実がなり、葉が生い茂る頃の涼風を思い浮かべ、暑さを忘れて練習に打ち込む立海メンバー達だった。
fin.