箱庭~話の花束~Episode1〜
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『肉食vs草食』
「幸村部長って絶対草食っすよね」
「あ?」
唐突に、切原赤也は丸井ブン太に聞いた。部活の休憩時間のことだ。
丸井のふくらましたガムも唐突に割れた。
「草食?」
「ほら今、巷で言われてるじゃないっすか、草食男子や肉食男子って」
「ああ。聞いたことあるな」
クラスの女子が何だかそんな話題で盛り上がっていたな、と丸井も思い返した。
「それでいくと、絶対幸村部長は草食男子っすよ」
愉快そうに切原は言う。
「……サラダっぽいよな、幸村くんは」
丸井が、向こう側のコート脇で真田や柳と話す幸村の姿をチラリと見るとそう言った。
「あ! まさにそっすよ!」
切原がポンと手を打った。
「肉食男子は、イメージ的にジャッカルだろぃ?」
サバンナを一直線に駆け抜ける褐色のヒョウ。
ジャッカルはそんな感じだ。
「俺はどっちすかね?」
自分を指差す切原に丸井は口を開く。
「赤也も肉食だろぃ? 舌なめずりして獲物に近づいて仕留める姿は、肉食動物だぜ?」
丸井にグッと親指で示されると、自然ににんまりとなった。肉食=強い、と切原の中ではなっている。
「俺は?」
今度は丸井が自分を指差した。
「先輩は……」
切原が開いた口は、そのまま止まった。
(あり? 丸井先輩って肉食とも草食とも言い難いんじゃ……)
思いつくのは
「……デザート男子……?」
それしかない。
「はは、やっぱそうだよなー」
わかりきっている、と言わんばかりに丸井が笑った。
「じゃ、柳は?」
「……刺身」
「柳生は?」
「……キリタンポ」
「仁王は?」
「……鍋」
「真田は?」
「……流しそうめん」
「ぶっははは」
もはやただの連想ゲームだ。腹をよじって、丸井はベンチで笑い転げた。
「楽しそうだな、赤也にブン太。何を話してたんだい?」
にこやかに幸村が近づいて来た。
とても言えない。
fin.