箱庭~話の花束~Episode1〜
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『お・は・よ・う』
音のない世界に生きる女の子は、音のある世界の眠りひつじを起こす役目がありました。
「明日早いんだよ~」
昨日会った時、眠そうに目をこすりながら、ひつじはそう言いました。
何だか朝練にいつも遅刻してしまい、まともに出たことがないらしい。
女の子は考えます。
朝になったら電話をしようと。
でも女の子には、相手が出ても聞こえないし話せません。
でも、自分がひつじを起こしてあげたいと思いました。
翌朝、いつもより早く目が覚めてしまった女の子は、ドキドキしながらひつじを起こす時間を待ちました。
時間です。
女の子は携帯のアドレスからひつじの番号を呼び出しました。女の子が電話をかけるのは初めてのことです。
ドキドキが強くなる中、じっと画面を見つめます。
呼び出し中の文字が出ています。
ふと、文字が変わりました。通話中、となりました。
女の子の頬が熱くなり、胸のドキドキはさらに早くなりました。
震える指先で女の子は送話口をコツコツと4回叩きました。
『お・は・よ・う』
そしてもう一度4回。
『だ・い・す・き』
ドキドキが鳴り響く中、女の子はそっと電話を切りました。
すぐにメールが来ました。
《おはよ~。起こしてくれてありがとうね。嬉しかったよ。頑張って来るね。》
女の子の顔がほころびます。
続けてもう一通届きました。
《忘れた~大好きだよ。慈郎より》
女の子の笑顔が花のように輝きました。
fin.