青学編
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『柚子』
「七星、ちょっと庭の柚子取るの手伝ってちょうだい」
暮れも近い週末、母に言われ庭にたっぷりと実った柚子の収穫を手伝った。
「凄い数だね。こんなにいっぱい使い切れるの? お母さん」
用意したコンテナボックスだけじゃ足りなくて、急遽物置から発泡スチロールの箱や、段ボール箱も出動させたほどだ。
「そうね…、傷んでいるのは冬至の柚子湯に使うでしょ? それからご近所に配って…後は…どうしようかしら…」
母も首をひねる。
「あ、そうだ。ジャムでも作ってみようか? 柚子ジャム」
収穫したコンテナからいくつかの柚子を手に取り、香りを嗅ぎながら何だか楽しそうに母は言う。
「柚子ジャム? 美味しそうだね。お母さん作ったことあるの?」
柚子ティーはあたしも好きで気に入っている。売っている柚子ティーは瓶に入っていて、まるでジャムみたい。
あたしも母の真似をして、柚子を手に取ると香りを嗅いだ。爽やかな香りが冬の空気と混じる。
「ないわよ」
「え…」
「これだけ数があるんだもん、失敗したって平気じゃない。何事もチャレンジよ!」
おーっと元気よく片手を天に突き上げる母は、気だけはあたしより若い。