囲碁は自分一人ではどうにもならない趣味である。誰かに教えて貰わないとちんぷんかんぷんで複雑なゲームなのだ。
「それで今日はいつもより難しい詰め碁の問題を出したら…」
「出来たってわけか。まったく人騒がせだね、弦一郎もブン太も赤也も」
喫茶店に駆けつけた部長幸村は、呆れたように三人を見回してため息をついた。

「面目ない」
「はぁ、悪かった」
「すんません」
三人三様、外へ出てから反省の弁を述べた。

「ま、恥ずべき行為には至らなかったからいいようなものの、誤解されるような言動は慎むように。誰が見ているかわからないんだからね」
幸村のやんわりとした説教でその場は解散となった。

「七星ちゃん、これから立海のメンバーに会う時は俺にひと言言って欲しいな」
「はい、ごめんなさい」

途中まで送ると言う幸村と並んで駅へ向かいながら七星は恐縮するように答えた。
「別に怒っているわけじゃないから」
幸村はいつも優しい。だから少しだけ、どうしたらいいかわからなくもなる。


「あれ…七星ちゃん？」
「はい？」