「よし、二人合わせてこれくらい釣れりゃいいだろう」
跡部は手塚と自分の網の入れ物が、それぞれ釣った魚でいっぱいにふくらんでいるのを見て満足そうに言った。

「足りなければ、自己責任だ。食いたい奴が釣ればいい。俺は、今日はもうこれ以上釣る気はない」
「ハッ、確かに。言うな手塚」
寡黙な手塚がはっきりと言うのを聞き、跡部は愉快に思った。




「おーっ、跡部」
「美味しいね～これ」
「頂いてます。先輩、美味しいですよ」

「やぁ、手塚。足りないって言うから味噌とキムチ持って来たよ。僕はワサビで充分だけどね」
「おでんも美味いよん。ゆで玉子と大根にも味がしみたと思うよ」

河原では賑やかに鍋と焼き肉とおでん、焼きそばが振る舞われ、宍戸、芥川、鳳、不二に菊丸、といつの間にか呼んでもいないのに人が増えている。

「…何で人数が増えてやがるんだ…？」
「わからん…」

魚の入った網を下げ、跡部と手塚はそれぞれ鍋や焼き肉を好き勝手に頬張る仲間達の姿に呆然としてしまった。

「お帰り、手塚。お疲れ様。あ、跡部もね。わぁ…大漁だね、凄いや」
手塚に駆け寄りねぎらいの言葉をかけた不二が、思わず感嘆の声を上げた。