（チッ…手塚に幸村、てめぇらんとこは遅れやがっても必死に走って来るだけマシってもんだぜ。それに比べて俺ん所は…）

「おい、忍足。ジローは出たか？ 」
「ダメや。何度かけても出ぇへん。やっぱりまだ寝とるんやないか？ 」

（あんの野郎…）
氷帝学園の正門に寄りかかり、イラつく跡部。腕を組み、じっと道の一方を見つめている。たった今、切原と越前が姿を現した道だ。

次の人が来る気配はない。

「忍足、樺地と鳳に迎えに行かせろ」
苦虫を噛み潰したような表情で、隣で携帯をかけていた忍足に言った。

「了解や」
忍足は正門から校庭へと駆け足で向かった。

「へ～…氷帝はまだ寝てる人がいるんだ…チッ、焦って来るんじゃなかったな」
「赤也！ 」
「…っ！ すいやせん…」
幸村の強い口調に首をすくめる切原。しかし、遅刻を反省している風には見えない。


今日は青学、氷帝、立海の三校からなる合同合宿の初日だ。合同で合宿なのだから、集まって出かけなければならない。しかも三校が集まるのだから、広めの施設のある合宿所へと向かわなければならない。いつもよりは遠方になる。従って、一人だけ置いていくわけにもいかない。何しろ遅れているのはジローなのだ。現地集合になどしたら、これ幸いと合宿が終わるまで来ることはないだろう。