いつもの青学ヒロインの他に、他校関連のヒロイン全てをまとめて『他校ヒロイン』として登場します。
その他・青学他校混合編〜Episode1〜
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思わず呼び止めた。
他意はない。
ただ、贈られたバラの相手が気になるだけだ。
「………」
跡部はリョーマの視線を追った。
「…ピアノ教師だ。イギリスで俺が小学生時代ずっと世話になった。帰国に合わせて一緒に来てくれて…ピンクのバラとショパンが好きで…綺麗な人だった」
思いを馳(は)せるように跡部の瞳が穏やかに微笑む。
「…へぇ…」
リョーマも墓石の名前を見ながら、ただつぶやくようにうなずくだけだった。
「悪いな、車待たせてるから帰るぜ」
茶でも、と言ったリョーマにしばらくして跡部が答えた。
「…あ、跡部さん」
「何だ?」
何とはなしに二人並んで墓地から出口へと歩いて行く途中で、ふと何か思い出したかのように跡部に言った。
「いつか跡部さんの弾くピアノ聴かせて貰えますか?」
「越前が…? 寝ちまうんじゃねぇのか?」
「…跡部さんが下手なら寝ちゃいますけど?」
からかうような語調で言われ、チロリと見返す。
「言うじゃねぇか。ま、構わねぇけど出張サービスなんてしねぇぜ? 聴きたきゃ氷帝まで来な」
「…ラケット持参すか?」
「道場破りかよ」
また愉快そうに笑うと跡部は車に乗り込み、見送る越前の視界から去って行った。
「いけね、俺も帰らないと」
午後の日差しが陰り、少し肌寒さを運んで来た風が落ち葉をかさかさと道端へと転がした。
fin.