「蓮二…？ お前こそどうしたんだ。何か用事か？ 」
相手コート側からわざわざやって来た柳に、いぶかしげな顔で迎えた。

「何、ただの興味だ。なぜお前が手塚ばかり見ているのかと思ってな」
ニヤリ…と普段でさえよくわからない柳の目が、さらに細められた。

自分が手塚の視線を気にしたように、柳も乾の視線が気になったようだ。

似た者同士…乾はおかしくなって口元をほころばせた。

「いや、実は…」

「…なるほど。そうだったか」
腕組みをした柳も言われて手塚を見る。

いつの間にか向日も戻り、手にしたペットボトルから飲み物を飲んでいる。

「疑問は直接聞いてみればいい」
「おい」
乾が驚く前に、柳はスタスタと手塚に近づいてしまった。


「それほど気になるのか？ 」
「…うん？ 」

（単刀直入な奴だな…）
いきなり手塚に問う幼馴染みと、まったく無表情に相手を見返す手塚に、乾はまた笑うところだった。