青学編
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「リョーマくん」
フェンスの向こうの人影に振り向く。
「何だ。お前部活なんてしてないだろ? 」
休みの日に登校するのは部活の生徒くらいだ。人影に近づきながらリョーマは言った。
「うん、今日はこれを渡しに来たの。はい」
少しだけ微笑むと、リョーマにリボンのついた小袋を渡した。
「誕生日おめでとう、リョーマくん」
「…え…」
思わず、手に渡された小袋と相手を交互に見てしまう。
「知ってたのか、七星」
「うん。…なーんて、ほんと言うとクラスの子が騒いでたのよね。リョーマくんの誕生日がイブだって。知っちゃった以上は何かあげないと悪いかな…って」
少しだけ悪戯っぽい仕草で七星の目が笑った。
「ハァ、いかにもついでって感じがシャクだけど、貰ってやるよ」
「あ、その言い方ムカつく」
リョーマはニヤリと皮肉っぽい笑いをしながらも、掌の小袋をそっと握り込んだ。
「待ってろ。すぐ終わるから一緒に帰ろう」
「え…でも寒いし」
「そら、いいから待ってろ」
着ていたジャージをさっと脱ぐと七星に羽織らせ、集合の声のかかったコートへ踵(きびす)を返した。
「…もう、これじゃ勝手に帰れな…雪…? 」
ふんわりとリョーマの温もりに包まれた七星の掌に、チラチラと冬の使者が舞い降りた。
「ホワイトクリスマスだ…」
鈍色(にびいろ)の空を振り仰ぐ。粉雪がいくつも連なって降って来る。
聖なる日に…おめでとうリョーマくん。
fin.