いつもの青学ヒロインの他に、立海ヒロインと立海関連のヒロインが『立海ヒロイン』として登場します。
立海編
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「切原くん、今なんとおっしゃいましたか?」
「え? そして誰もいなくなったって、言ったんすよ?」
放課後の部室で、切原が昨夜見た奇妙な夢の話を始めたとたんのことだ。
「それ、俺も見たぜよ」
「え……」
仁王もか、と思う間もなくメンバーが次々と自分も見たと言い出したのだ。
「マジ恐かったすよ~。呼べど叫べど誰もいなくて、あんなに真田副部長ですら恋しいと思ったことってなかったすからね~」
切原は笑いながら言ってはいるが、体感した恐さは夢を見た者にしかわからない。
「……」
柳生は今、昨夜の夢の舞台、部室のロッカー前にいる。
部活が終わり、着替えをしている最中なのだが、切原の話で思い出した。
夢の中では開けなかった、自分の隣りのロッカー。
あの時は誰のロッカーかもわからずにいた。
ほぼ毎日並んで着替えている仲間だというのに、夢の中ではまったくわからなかった。
「どうした、柳生」
視線を感じたのか、その隣りのロッカー前で着替える柳が自分を見た。
「ええ、夢で私は誰かいないかと、必死にロッカーを開けていたのですよ」
「痕跡探しか。俺も同じだ。ロッカーに荷物があれば、と探していた」
「柳くんもですか!」
思わず声が大きくなった。
「え、ロッカーなら俺も開けたっすよ!」
「俺もだぜ」
切原と丸井も柳生の方へ振り返った。
「え……」
部室がしんとなった。
「もしかして、自分以外の名札が全部真っ白で絶望的になった時、一個だけ名前が書いてありそうなロッカーなかったか?」
周りを窺うように丸井がそっと言った。
「あっ、あったっす! それを確かめようとしたら足音がして……」
また、しんとした。思わず全員が全員の顔色を窺う。
「……その名前を確かめられた者はいるか?」
柳がぐるりと部員を見渡した。
「……俺は見たぜよ」
「俺もだ……」
軽く手を挙げた仁王に、腕組みをしている真田が言った。
「マジかよ、俺は見る前に影が…」
ぶるっとジャッカルが身震いをした。
「名前は誰のだったんだよ?」
丸井が仁王と真田へ視線を向けた。
「それは……」
「その前に話を総合しよう」
じっと考え込むようにしていた柳は、丸井と答えかけた真田を制して切り出した。
「不思議なことだが、どうやらここにいる俺達全員が同じ夢を見た」
一同を見渡すと柳の周りに集まったメンバーが、静かにうなずいた。