いつもの青学ヒロインの他に、立海ヒロインと立海関連のヒロインが『立海ヒロイン』として登場します。
立海編
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「ああ……っ」
頭をかかえたまま、床に膝をついて柳生はくずおれた。
目が知らずに熱くなる。
やがて、明るかった室内にも急速に宵闇が迫って来た。
「……いつまでこうしていたって仕方ありません。学校だから誰もいないのかもしれませんし…」
つぶやくように言うと力なく柳生は立ち上がった。
薄暗い部室には自分一人しかいない。開いたままだったロッカーの扉をしめようとのろのろと手を持ち上げた柳生は、隣りのロッカーはまだ開けていなかったことに気づいた。
「今さら……」
と苦笑したが、暗がりの中、名札の白地に何か書いてあるように見えた。
柳生の鼓動が速くなった。
名前が記名されているなら、もしかして……。
その名を見ようとした時、部室の外で何か音がした。
かすかな、砂利を踏むような足音だ。
静かに、こちらを窺うかのように一歩ずつ音が近づいてくる。
「……」
柳生の鼓動がさらに速くなる。
仲間ならば、気配を窺うだろうか?
いや、相手もまたこの校内にたった一人にされたと思い、誰かいないかと用心深く探しているのかもしれない。
あるいはまた……。
(この原因の張本人という可能性も……)
柳生は前者、後者両方の可能性を考え、そっと息をひそめることにして、自分のロッカー前でかがみ込むと部室入り口ドアを物陰から見える位置に身体を隠した。
(柳くんならテニス部員の確率50%、味方である確率も50%と言うところでしょうか……)
頭の中で考える。その間にも足音は規則正しく近づいてくる。
その音がドアの前で止まった。そして、静かになった。
柳生の耳に、自分の鼓動がやけに速く大きく響く。
息を殺し、まばたきも忘れドアをじっと凝視する柳生。
ドアが何の前触れもなくスッと開いた。
柳生の鼓動が限界まで速まる。
先ほどよりずっと暗さを増した室内に影のようにその人物は入り込んで来た。
柳生は必死に物陰から目をこらす。
だが、どうしたわけか、それは影としてしか見えないのだ。
(まさか……いくら暗闇でもシャツの白さくらいは認識出来るはず……)
だが、見えない。わだかまりのような黒い影が、ドアから滑り込むように入るとゆっくりと何かを探すように頭を振る。
「……」
柳生の本能がここにいてはいけない、と警鐘を鳴らし始めた。
影が部室の奥へ向かうのと引き換えに、物陰からそっと出た柳生は入り口へ這うようにして進んだ。