青学編
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「そら、いたぞ」
改札を抜け、初めて降り立つ町に物珍しげに辺りを見回す海堂に声がかかる。
「え? いたって何が…」
乾の指差す方向に顔を向けると、一匹の黒と白のデカい猫がのそりのそりと歩いている。
(…え…)
「そら、もう一匹」
今度は茶と白の猫が弁当屋の裏でちんまりと座っている。
「あいつは弁当屋から残り物を貰っている猫なんだ」
(………)
この人は、猫のデータまで持っているのか? しかもこんな離れた町の。唖然とする海堂に、乾は観光地を案内するガイドのごとく次々と猫路地を解説つきで見せて歩いた。
「…で、結局のところこの猫ツアーの目的は何なんすか…」
いくつか電車を乗り降りし、他の猫路地も案内され、ようやくひと息ついたファミレスで海堂はやっと乾に聞いた。
「気分転換だよ。お前、ずっと桃城に勝てなくなってただろ? 身体の動き自体は悪くないから、頭で考え過ぎているんじゃないのか。まぁ、軽めのスランプ…と言ったところだな」
表情のよくわからない逆光越しに乾の柔らかい笑顔が浮かぶ。
「……っ…」
何もかも見透かすデータマン乾。感謝すべきなのだろう。あんなにたくさんの猫の姿…正直初めて見たし、妙に嬉しくなっているのも事実だ。
「先輩、俺…」
「ああ、そうだ海堂。一度聞きたかったんだが…」
「…何すか…? 」
せっかく礼を言いかけたのに、タイミングが噛み合わずやや気分的に焦る海堂。
「バンダナって蒸れないか? 」
「………」
(乾先輩、あんたって…)
fin.