いつもの青学ヒロインの他に、立海ヒロインと立海関連のヒロインが『立海ヒロイン』として登場します。
立海編
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メンバーは全員真田の病室へと向かい、残ったのは猫と幸村。一人と一匹。
「…お前、弦一郎…?」
《精市…》
〈ふみゃ…〉
幸村を見上げる目が潤む。
「弦一郎なら気合いだよ。気合いで戻れるよ。でも早くしないと…向こうで戻った意識ってこの猫のだろ?」
《はっ! いかん、まずいではないか》
〈にゃごう!〉
憤怒(ふんぬ)という猫には見られない形相で床に飛び降り、さらに猫にあるまじき仁王立ちになると両手をゆっくり広げ陽炎(かげろう)でも立ち上ぼるような気合いを入れ始めた。
(弦一郎…)
《きぃやーっっ!》
〈ふーっっ!〉
一瞬、稲津が猫に落ちたのかと思うくらいの気合いが放たれ、しばらく微動だにしなかったが、やがて猫はゆらりと前のめりに倒れ込んで動かなくなった。
「弦一郎!」
急いでベッドから降りると幸村はそっと猫の体を撫でた。
〈にゃ…〉
小さく鳴くと猫は薄目を開け、ぼんやりとした表情を浮かべ幸村を見上げた。
〈にゃおっ〉
それが周囲の様子に気がつくと急に切羽詰まった顔になり、室内を走り回る。出口を探しているのだろう。
「お行き。ただし見つかるんじゃないよ」
幸村がそっと病室の扉を開けてやると、猫は廊下に足を滑らせながらも一目散に駆けて行く。
今頃は真田も意識を戻したことだろう。
「早く俺もこの部屋から出たいな…」
そう呟いて幸村は再びそっと扉を閉めた。
fin.