青学編
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ああ、越前…」
「…何スか…それ」
越前をじっと見つめてから、乾がおもむろに差し出したものは、シソかブドウか、はたまた紫イモか…と言うくらい妖しい、妙齢のマダムが好みそうな紫がかった液体だった。
「試作品だが…越前用に仕上げてみた」
「…げ…」
よく見るとその液体からは小さな気泡がいくつも底から立ち上ぼっている。
「…まさか、炭酸乾汁…」
「そうだ。爽やかさはこの夏一番だ」
「い、いいっス。遠慮……ぐががが…ヒャーッッ! 」
一歩逃げ遅れた。濃緑野菜汁の炭酸グレープ味が越前の口の中に思い切り広がった。
「…いやに人数が少ないな…他の連中はどうした? 」
生徒会の仕事を片づけてからやって来た部長の手塚が、ぐるりとコートを見回し、近くにいた不二に聞いた。
コートにレギュラー選手はいない。1、2年生が練習しているだけだ。
「ああ、ちょっとね。乾汁の被害者続出…ってとこかな」
いつもの笑顔でにこやかに不二が答えた。
「乾汁…」
眉間に皺を寄せ、思わずため息をつく手塚。通りで不二一人が平気なわけだ。
「手塚、生徒会の仕事は終わったのか? 」
「乾…」
手に新たな乾汁とおぼしきペットボトルを下げてやって来た乾の姿を見て、何気に身構える手塚。その姿をじっと見つめる逆光眼鏡。
0.5秒後、判断は下される。
「疲れているな手塚。これを飲め」
恋に落ちるだけではない0.5秒…。
何を想う…?
fin.