青学編
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『0.5秒の考察』
物の統計によれば、人が恋に落ちる時間はわずか0.5秒だそうだ。
他人を魅力的と感じたりする判断は相手を見て0.5秒で下される。
そして、決まった相手のいる人は同性に警戒を抱き、そうでない人は異性に関心が高い。
0.5秒…なかなか侮(あなど)れない時間だな。
「乾、どうしたんだ? さっきからやけに熱心にデータブックを見てるじゃないか」
いつもの放課後、いつもと同じ青学のテニスコート。どの部員も練習に余念がなく、コートを跳ね返るボールの音が聞いていて心地いい。
「ああ、大石…」
「…な、何だよ」
乾にじっと逆光眼鏡越しに見つめられ、思わず一歩後退さる大石。
「飲め」
「…っく…」
いきなり大石の目の前に差し出された芝生を蕩(とろ)かしたような、ドロリとした沼色の液体。
「胃が痛むんじゃないのか? 大会前からそれでは困るだろう? 」
「や、それはいつものことだし、乾汁を飲むほどのものじゃないって…あはははは…は、は、はー―っっ! 」
「…何したんスか? 大石先輩、猛ダッシュして行きましたよ」
ひと試合終え、顔を洗って来た越前は首にかけたタオルで水滴を拭いながら、口を押さえて全力疾走して行く大石を目の端で捉えた。そのままゆっくりと乾の隣で足を止めると、先ほどの言葉を口にしたのだ。