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氷帝編〜Episode1〜*
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『切符』
「日吉くん、これあげる」
夏休み明けの始業式、隣の席の野崎が小さな紙片を渡してきた。
受け取った紙の入れ物には回数券と印刷されている。
「回数券じゃないよ。入れるのに丁度いいから貰って来ただけ」
日吉が怪訝そうに眉を寄せたのを見るや、笑いながら野崎は言った。
「……切符?」
取り出した物は紛れもなく切符で『日吉駅』とある。夏休みの始めに買ったのか、7月の日付だ。しかも別な路線と思われる、もう一枚の日吉駅も。そちらは8月の日付になっている。
「日吉駅って、二つあるんだね。面白い」
普段あまり表情が変わらない日吉が、切符を手に思案する姿に
「あ、面白いから買ってきただけで、クラスメイトの旅のお土産なんだから深く考えなくていいよ」
軽く手を振り野崎は笑う。
「いや、どこにあるんだ?」
日吉は日吉駅の切符を振り返して聞いた。
「ああ、こっちが横浜市内で、こっちが京都」
「京都!? そんなとこまでわざわざ切符買いに行ったのか?」
日吉の指先にある駅名を指して説明する野崎に、日吉が驚いたように声をあげた。
「え? ついでだよ?」
「ついで……?」
「そう、遊びに行ったりとか。あと、うちの親戚は、割に近畿圏に多いしお盆で親が帰省したりするからね」
だから、と野崎が言えば、そうなのか、と日吉も納得してもう一度日吉駅の切符に目を落とした。
「でね、私って少々鉄道オタクなところがあるわけだ」
そう言いながら、先ほど日吉駅を取り出したポーチから、さらに別な回数券入れを手にすると嬉しそうな笑みになった。