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氷帝編〜Episode1〜*
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『聴こえますか?愛2』
「珍しやんな。今日はジローが起きとるやん」
「本当ですね」
「ウス」
支度を終えて、次々とコートに出て来たテニス部員達は、そこに眠り魔人、芥川慈郎の起きている姿を見て一様に驚いた。
「へへ~、俺だってデートのある日は起きてるって」
嬉しそうに満面に日だまりのような笑顔を浮かべた。
その屈託のない笑顔に、部員達も優しい微笑みを送った。
慈郎の付き合い始めた彼女は、音のない世界に生きている。
「聞こえないってわかってるんだけど、俺、一人でベラベラ話しかけちゃってるんだ~」
「ええんやないん?」
練習の合間に慈郎は忍足と話していた。
相談するというわけでもないが、誰かに聞いて欲しかったのだと慈郎も思う。
会話の答えがないから、慈郎には明日香が自分といて楽しいのかどうか、不安になる。
一緒に歩く街中の雑踏、ビルや駅での人々の話し声や足音、流れる音楽、あふれる音、音、音。
静寂の世界にいる明日香。
明日香には自分の声も、打ち返すボールの音も聞こえない。
少しだけ寂しいと思う時がある。
メールは出来ても電話は出来ない。それでも、慈郎の携帯には明日香の番号を登録してある。