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氷帝編〜Episode1〜*
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『メール』
入学式も終わり、学校や友達、授業にもそろそろ慣れ始め、クラスもようやく落ち着いた頃。外はすっかり桜も散り、新緑が眩しいほどの季節になった。
「あーん…?」
「どないしたん?」
部活終了後の跡部景吾と忍足侑士が、揃って校門から出たところで携帯を開いた跡部が不可解なものを見たような顔になった。
「わからねぇ…なぜこんなハンパな文章を送って来やがるんだ…?」
心底わからないと言う表情の跡部に興味を持った忍足が、何がや、と跡部の携帯画面を無遠慮に覗き込んだ。
「……? いたって普通なメールやん。どこがハンパなん?」
画面から目を上げると、今度は忍足が跡部に聞いた。
「普通だぁ?」
これのどこが普通なんだと、携帯を押しつけるようにして忍足に抗議してくる。
「そら、若干顔文字も多いし、絵文字もチカチカやし、まぁ、多少にぎやかやな、とは思うけど…」
忍足が言いきらぬ前に、跡部は猛然と返事を打ち始めた。
「気に入らねぇ…」
そうつぶやくと送信ボタンを押し、無造作に携帯をポケットに突っ込んだ。
その返事はすぐに来た。跡部の着信メロディが鳴ると、突っ込んだばかりの携帯をいまいましげに睨み、再びポケットから取り出した。
「あーん?」
開いた画面を見るやいなや、跡部の眉がひそまった。
「てめぇ、バカか…」
またつぶやくように言うと、今度は返事をせず、閉じるとそのまま携帯をしまい込んだ。
「何がや?」
気になる忍足は、跡部の周りをうろつくように歩く。
「バカな奴は相手なんざする気も起きねぇ、それだけだ」
「せやから…」
好奇心で食い下がる忍足を、ジロリとひと睨みしてから跡部は舌打ちした。
「俺は、相手がギリシャ語の勉強を始めたのかと思ったんだよ」
「ギ…ギリシャ語?」
話が飛ぶ。
「あまりにたどたどしいから、添削してやったんだ」
忍足は、先ほど跡部が猛然と返事を打ち返して姿を思い返した。
「ところが、さらにわけのわからねぇものを送って来やがる」
跡部はそう言うと、もう一度ポケットから携帯を取り出し、嫌そうに画面を開いて忍足に見せた。
「……」
ややきゃぴきゃぴした絵文字や顔文字が、いくつも並んでいる。
(こら、俺でも参るわ)
忍足もそう感じた。