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氷帝編〜Episode1〜*
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「そう…かな。ありがと、跡部くん。褒められると嬉しいね」
素直な飾らない笑顔が花束の向こうに広がった。
忍足と跡部の二人にも、柔らかい日だまりのような眼差しが浮かぶ。
「私ね、小さい頃からずっと引っ込み思案で消極的で、内へこもっちゃう性格だったの」
「まぁ、確かにあまりクラスの連中となぁなぁにやってるようには見えねぇな」
コンクール会場を後に、のんびりと跡部の車まで歩いている途中、ぽつぽつと明日香は自分のことを話した。
「バレエは身体を外へ向ける踊りだからって、幼稚園の時に母から習うように教室に連れて行かれたの」
「なるほどな、身体と一緒に性格も外へ、ちゅうわけやな」
「そ!」
昔を思い出したのか、照れるように小さく笑うと足元の小石を蹴った。
「最初はチュチュやトゥシューズへの憧れだけだったけど、今は踊りたい、それだけかな。踊ってる時が一番幸せ」
花束を抱え、くるりと一回転して跡部と忍足を見た明日香は大きく微笑んだ。
硬かった蕾が春の陽射しで一斉に花開いたような、そんな笑顔だ。
「そいつはいい。物事に打ち込む時、その対象が好きなほど成功するもんだ」
「好きこそ物の上手なれ、やな」
二人もまた笑った。
アン・ドゥオール。
外へ。
より広い外へ、より明るい世界へ。
まずは一歩から。
fin.