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氷帝編〜Episode1〜*
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「跡部」
「あーん? 珍しいじゃねぇか。何の用だ」
5時間目の休み時間、跡部のA組を覗きに来た忍足に跡部は冷やかし気味に言った。
「野崎明日香いう子居てるやろ?」
耳打ちするようにそっと忍足は囁く。跡部の席にテニス部男子レギュラーが来ようものなら、クラス中の女生徒は全員素知らぬ顔で聞き耳を立てるのが最早当然の行動になっているのだ。
「野崎? いるが…早退したぜ? 何か用か?」
野崎明日香と忍足の接点が何もないので、跡部はいぶかしげに眉を寄せた。
「めっちゃ足が綺麗やんな。おまけに姿勢もスッと綺麗やし、以前から目について気になってたんよ」
「ああ、そりゃ綺麗だろう。野崎はバレエをやっているそうだ」
「バレエ…。そら姿勢ええはずやんな」
跡部の机に両手をついたまま、忍足は感心したようにため息を吐いた。ふと、その視線の先にひとつ主のいない空の机が目に入った。
「早退言うたけど、どないしたん?」
そこが野崎明日香の机なのだろう。忍足はじっとその机を見つめた。
「コンクールが近いらしい」
「え…」
予鈴が鳴った。
続きを聞きたかったが、忍足は自分の教室へ戻って行った。
「自分、バレエやってるんやって?」
翌日明日香が登校すると待ち構えていたかのように忍足が声をかけて来た。
(誰に聞いたんだろう…)
と思った。あまりバレエのことは聞かれたくない。
『バレエ? 凄いね。ちょっと回って見せて~』
と、言われたりするのが気恥ずかしくもあり、嫌でもあった。