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氷帝編〜Episode1〜*
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「イギリスは、中間だの期末だの入試だのというまとまった試験がない代わりに低学年から全国統一試験があるんだ。Standard Assessment Testsと言って、それが通称SATs(サッツ)と呼ばれる。学力が標準まで達しているかどうかを評価するわけだ」
部室に跡部の説明が静かに響く。部長が過ごした海外での学生生活に、部員達は丸ごとの興味を示し耳をそばだてる。
「全国規模で同じテストを同じ年齢の子供が受けるわけだから、イギリス国内で自分がどれくらいの学習レベルに達しているかがわかるんだ。それに学校ごとの試験結果は新聞などに公表されるから、学校の順位も全国何番目かがわかる仕組みだ。それによって結果のいい校区に引っ越し先を決める家もザラだぜ」
「へぇ…。教育熱心なんだな」
宍戸が腕組みをしてつぶやいた。
「それだけじゃねぇ。サッツの成績の一番いい校区の家には高値がつく」
「え…不動産価格まで変わるん?」
忍足の目が丸くなる。
「当然だ。サッツは学習習熟度、学校の評価、その地域の善し悪し、家の価格にまで影響するんだ」
その時誰もが思った。
跡部は最高位の校区で、贅沢な豪邸に住んでいたのだろうと。
「けど、入試があらへんやったら誰でも大学に入れて、サッツの意味がないんとちゃうか?」
「そうですよね」
忍足の素朴な疑問に鳳もうなずく。
「それは16歳の時に受ける全国統一試験で大学進学を左右するんだ。それはサッツとは言わねぇ。通称GCSE(ジーシーエスイー)The General Certificate of Secondary Educationで、受験科目を決定する判断材料になる。受験はねぇが、サボったらてめぇにはね返る。それだけだ」
何気なく発音する跡部の流暢な英語に、部員も思わず聞き惚れてしまう。
「そのサッツは定期的にあるみたいやけど、毎年あるん?」
また忍足が聞いた。
「いや。最初のサッツは5~6歳のイヤー…」
と言いかけて跡部は口をつぐんだ。
「イヤーて何だよ」
今度は向日が聞いた。早く先を知りたそうに跡部を促す。
「説明が足りねぇと思ったんだよ。イギリスの小学校は5歳からで、始めは1年生じゃなくReception(レセプション)と呼ばれ、2年目の学年からYear1(イヤー1)と呼ばれるんだ」